くら寿司への迷惑動画「逮捕」だけで喜べない理由 迷惑行為を撲滅する道のりは始まったばかり

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くら寿司への迷惑行為
吉野凌雅容疑者(21)は3月8日に逮捕されました(画像:Twitterに投稿された実際の迷惑動画より)

回転寿司チェーン「くら寿司」の店舗で、レーンの寿司を手づかみで取って食べ、醤油差しに口をつけるなどの迷惑動画をSNSに投稿した男女3人が逮捕されたことを各メディアが報じています。回転寿司店に限らず飲食店での迷惑動画が相次ぐ中、「客の逮捕はおそらく全国初」であることが関心の高さにつながっているのでしょう。

「逮捕」のニュースが一斉に報じられたのは8日の15時すぎ。その後も、「事件後に謝罪動画を投稿していた。捜査を免れる目的か」「『僕は捕まりましぇ~ん』などのふざけた投稿を続けていた」「『注ぎ口に直接口は当たっていない』と供述」「名古屋の“ドン横”や東京の“トー横”と呼ばれる広場など、居場所のない若者が集まるエリアに出入りしていた」などのニュースが次々に報じられる状態が続いています。

迷惑動画の投稿が後を絶たない中、警察が動いて逮捕されたことは、事態の改善に向けた大きな一歩。なかでもネット上では、実行者の名前や顔が報じられたことや、送検される姿をしっかり映したことを評価する声が目立ちます。

しかし、今回の逮捕は有意義であるものの、迷惑行為と動画のアップに対する動きとしては、ほんの第一歩にすぎないでしょう。それどころか、せっかくの逮捕が台なしになりかねない危うさすら感じてしまうのです。

論点のずれた報道が効果を薄める

回転寿司店だけでなく、うどん店、牛丼店、カレー店、バイキング店、フードコートなど、いまだ模倣犯・類似犯が後を絶たない中、抑止力につながるだけでなく、飲食業界の危機をフォローするなどの意味で、逮捕が報じられたことがよかったのは間違いありません。

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