ビル・ゲイツが競合にアイデアを難なく話した訳 2000~08年、慈善事業にも活動の場を広げた頃の生声

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マイクロソフト創業者にして世界的富豪、慈善家のビル・ゲイツ氏
マイクロソフト創業者にして世界的富豪、慈善家のビル・ゲイツ氏(写真:Takaaki-Iwabu/Bloomberg)
誰もが知る成功者として有名なあの人も、ひとりの人間として、悩み、もがき、ときには本音、弱音、ジョークをぽつりともらすことがある。ときに、そうした等身大の言葉はどんな美辞麗句よりも力をくれるはずだ。
今回取り上げる人物は、マイクロソフトの創業者にして、億万長者、世界的慈善家として知られるビル・ゲイツ氏。自身のブログやインタビューなどで彼が自ら語った「生声」を収録した『ビル・ゲイツの生声』より、「ビル・メリンダ・ゲイツ財団」を立ち上げ、ビジネスから慈善事業へと活動の場を広げていく時期の言葉を紹介する。

誰よりも早く始めれば、それだけ多くの失敗をする

2000〜2004年 《成熟》
世界規模のビジネスの傍ら、「ビル・メリンダ・ゲイツ財団」を立ち上げ、慈善事業をスタート

PCの普及と影響力に関して言えば、今のような世の中になると思っていた。けれども、自分たちの会社がこれほどの規模になるまで成長して、このような成功を収めるとは想像もしていなかった。
とは言え「よし、30人の会社だけれど、すべてのPCのソフトウェアを作り出せるほどになってやろう」とも考えていたが。
――『Newsweek』誌 2000年9月17日


かつてはミスもしょっちゅうだった。
誰よりも早く始めれば、それだけ多くの失敗をするものだからだ。
――スミソニアン協会「オーラル・アンド・ビデオ・ヒストリー」 2003年


製品開発を行う場所は、大学のキャンパスのような楽しめる場所であるべきだと私は考えてきた。また小さなチームを使うということは、必要な道具、コンピュータ、個別のオフィスなど必要なものをすべて備えて、彼らがそれぞれの仕事に集中し、クリエイティブになれるように環境を整えることでもある。
――スミソニアン協会「オーラル・アンド・ビデオ・ヒストリー」 2003年


ソフトウェア業界では、これからどうなっていくか知りたい人々が大勢いて、私たちに話を聞きに来たものだ。私たちは相手がライバルであっても、自分たちのビジョンを共有することを厭わなかったからね。
人々と話すことで、彼らにも同じアイデアを持ってもらえれば実現の手助けになると踏んでいたんだ。
――スミソニアン協会「オーラル・アンド・ビデオ・ヒストリー」 2003年


我が社はチャレンジ精神が旺盛だ。過去を振り返って、いつまでも成功したことを祝うことに時間を浪費したりしない。そこがいいんだ。
――『Microsoft Rebooted』 2004年


私たちは正式なプロセスを重視していなかった。
決定過程に12人の承認が必要なプロセスよりも、そこで起こっている事態を真に理解している3人がいるほうがよいからだ。
――『Microsoft Rebooted』 2004年


休暇に入ると、つらつらと会社のことを考えたりはしても、メールはチェックしない。メールとは単なるツールではない。だから私にとって「本物の休暇」とは、メールをやっていない時間を指すのだ。
クリスマスと年2回ほど休暇を取っているがよほどのことがなければまずメールはしない。ビーチに行ったり、子どもたちと遊んだりとやることが山ほどある。
――『Microsoft Rebooted』2004年出版

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