「最初にどこに就職するか」ですべては決まらない 「違うな」と思ったら、また選び直せばいい 

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学生たちからはどっと笑いが起きました。私はこう続けました。

「でも、これだけは覚えておいてください。Life is like a chapter book. 人生は何章もある本のようなものなのです」

大学を卒業して最初にどんな仕事に就くか。これをとてつもなく大きな選択だと思っている人は大勢います。

「どんな仕事を選ぶかで、この先の人生が決まる」

「いったん選んだ仕事はずっと続けなければいけない」

新卒一括採用という日本の終身雇用を前提にしたシステムに比べたら雇用の流動性が高いアメリカでさえ、「最初の就職は重要だ」と、卒業後の進路について深刻に考えすぎる人はめずらしくありません。

しかし「これで人生がすべて決まる」なんて考えたら、その選択はとてつもなく重いものになってしまいます。深刻になればそれだけ良い選択ができるというわけではありません。むしろ、考えすぎたり、情報を必要以上に集めたり、まわりの意見を聞きすぎたり、悩まなくていいことに悩んだあげく、何も選べなくなる危険すらあります。

最初のキャリアですべてが決まることはない

現実には、最初のキャリアですべてが決まるなんて、ありえない話です。

人生というのは本のようなものだとお話しししましたが、本であればチャプター(章)がありますね。生まれてから20歳すぎまで育ってきた日々がチャプター1からチャプター2に該当するとしたら、大学を卒業して就職する時期はチャプター3の始まったあたりでしょうか。

その後にはチャプター4も5もあり、人生100年という時代には6も7も8もある。それなのに、チャプター3ですべてが決まってしまうなんてことがあるでしょうか?

もちろん、20代初めで社会に出てからの数年間は貴重な時間です。熱意はあるし、何ごとにも飽きないし、たくさん学ぶし、学んだことも定着しやすい。したがって、貴重なその時期を何に使うかの選択は大切です。

大切だけれど、だからこそ「これが自分の人生を決める」と思い詰めると、肩に力が入りすぎて逆に上手に選べなくなる。その点に目を向けるべきだと私は考えています。

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