人への影響が疑われる「ネオニコ系農薬」に迫る 映画「サステナ・ファーム」が斬った日本の農業

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ネオニコ系農薬の田んぼへの散布。ドローンを使って行われることも多い(写真:川上監督提供)
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蜂が異常な行動に出たり、湖からウナギやワカサギが大きく減ったりと、自然界で起きている異変の原因は農薬なのではないか。EU(欧州連合)では使用規制が強化されている一方で、日本政府が規制しないのはなぜなのか――。
国会でも取り上げられた「農薬問題」の真相に迫り、持続可能な農業のありかたを模索するドキュメンタリー映画『サステナ・ファーム  トキと1%』(監督:川上 敬二郎 / 69分 ©TBSテレビ)が、この3月、TBSドキュメンタリー映画祭2023で公開される。
物議を醸すテーマを取材し、映画を制作しようと考えたのはなぜか。TBSの現役ディレクターでもある川上敬二郎監督に聞いた。

食材が生産される過程には無頓着

――映画では、日本の農業はサステナブルかという重い問いかけをしています。川上監督は、これまでも農業に関する番組を手がけてきたのでしょうか。

いいえ。これまで私は「Nスタ」や「news23」、「サンデーモーニング」、「報道特集」など、主にニュース番組を制作するディレクターやデスクをやってきましたが、農業のことについてはほとんど扱ってきませんでした。

本格的に農業に関心を持ったのは6年前、郊外に引っ越してからです。小さな市民農園をレンタルして、家族で、といっても主に妻ですが、有機農業を始めたのです。その頃の私は「オーガニックって何?」という基本的なことすらわかっていませんでした。それでも有機農業について考え、仕事でも少しずつ取材を重ねていき、2021年に「報道特集」で「ネオニコ系農薬 人への影響は」を放送することができました。

グルメ番組のような食べ物を取り上げる番組は数多いのですが、それらの食材が生産される過程でどんな農薬や肥料が使われているのか、そして、その人体への影響はどうなのかといったことを考える番組が日本にはほとんどなかったので、思い切って挑戦してみたのです。

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