AIに負ける物書きと「利用して勝つ人」を分ける差 人間がなすべき仕事の内容が変わっていく

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ところが、私が書いているのは小説ではなく、論述文だ。したがって事実に反することは書けない。

例えば、「政府が打ち出した**の政策は適切なものではない」と書いたが、実際にそのような政策は存在しないとしたら、 アウトだ。誤った事実をそのまま書いたら、命取りになる。

ところが、ChatGPTが出力する文章には原典が示されていないので、事実なのかどうかを確かめるすべがない。確認するためには別途調べる必要があり、これにはかなりの手間を要する。

だから、ChatGPTで書けるのは小説(とくにSF)に限られ、論述文は難しいと考えていた。

アメリカの大学では、ChatGPTを用いて書いたレポートが急増していると伝えられているのだが、対処の仕方はあると考えている。レポートの出題者が、「事実を例示して述べよ」と制約をかけておけばよいのだ。

そうすれば、ChatGPTが作った文章をそのまま提出するのは、きわめて危険なことになるだろう。

Bingショック

ところが、Bingは違う。文章を書くためにウェブサイトを検索しており、出所を明記している。だから、書いてある内容が事実かどうかは、そのサイトを見ればチェックできる。あるいは、「**によれば」と書いておけばよい。

だから、私がカバーしている領域にも、AIが書いた文章が大量に出てくる可能性がある。

検索サイト「Bing」
検索サイト「Bing」のトップページには新機能への誘導枠が設定されている(画像:Bing公式サイト)

ChatGPTの場合もBingの場合も、質問を何度も繰り返すことによって、生成される文章の内容を望む内容に近づけていくことができる。

しかも、内容について、「批判的な立場から書いてほしい」とか、「賛同する立場から書いてほしい」というような注文を付けることも可能だ。

次ページウェブサイトだけでなく専門的な文献を機械学習していく
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