残業続きで疲弊「生産性が低い」会社が陥る悪循環 増員しても残業は減らない、どう対応すべき?

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「働き方改革」が本当に目指すべきことは?(写真:Luce/PIXTA)

「働き方改革」を進めるために法律が改正され、時間外労働、いわゆる残業の上限規制が始まりました。大企業においては2019年4月から、中小企業でも2020年4月より施行が開始されています。

きっかけは長時間労働による社員の健康被害です。長時間労働ばかりか残業自体も問題視されるようになり、経営者も残業削減に取り組むようになりました。

とはいえ、企業は社員に対して、やむをえず残業をお願いするケースがあります。

企業が世の中に貢献していれば、その分仕事が増えるからです。これ自体はとても良いことです。

しかし社員数が決まっていますので、すぐにキャパオーバーになります。たとえば社員が10人の企業で10人以上の仕事を依頼されたら、10人で残業せざるをえない状況もあるでしょう。経営者が「残業は駄目」と言って、仕事を断りますか?

では残業を減らすために、人を増やせばいいのでしょうか。1人当たり所定労働時間が仮に月間174時間だとして、1人平均月間18時間の残業をしていたら、10人で180時間の残業をしていることになります。この段階で、企業は社員を1人採用することを検討します。その結果として、その分残業は減るのでしょうか。

人を増やしても残業は減らない

人を増やしても、仕事がまた増えて、11人で11人のキャパを超えた仕事を、残業することで対応するようになるのです。この成長循環は、すべての企業に共通します。

こうした事態に対して、何も対策をせずに残業を減らしたら大変なことになります。

企業の売り上げ・粗利が下がることは必然です。生産性を上げずに現在の残業時間を削減したら、その分業績は下がります。徐々に、企業が衰退することになります。

これでは「働き方改革」は本末転倒となってしまいます。生産性向上とは、10人で残業しないで、11人分の業績を上げることです。生産性の高い社員へ育てること。これが「働き方改革」の本当に目指すことです。

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