「幸福な人」「不幸せな人」付き合っている人の違い 実は双方のグループが交わらないという事実

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幸福も不幸も他者へ伝染するというのは本当でしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
脳科学から統計学まで、幅広い学術的根拠をもとに、「幸せに生きるにはどうしたらいいか」を研究する「幸福学」。その第一人者ともいえるのが、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授です。
前野氏によれば、幸福も不幸も人間関係を通じて“感染”するため、愚痴が多い“不幸な”友人と時間を過ごせば過ごすほど、自分もそちら側へ引っ張られると言います。同氏の『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』から、より幸福な人間関係を築く方法をご紹介します。

ネガティブな会話ばかりの友人との集まり

10代から20代、20代から30代と年齢を重ねるにつれ、少しずつ人生の可能性が狭まっていくように感じる人は多いようです。拙著『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』に登場する30代の青年も、その1人。仕事も恋愛もパッとしない日々が続き、休日は単独行動することも多いそうですが、友人がいないこともないそうです。

であれば、彼らとの関係を充実させれば、人生が楽しくなりそうなもの。しかし青年によると、ここ2、3年で急速に、旧友との会話に飽きてきてしまったといいます。なぜでしょう。話を聞いてみると、「ネガティブな話題ばかりがループするようになってしまって……」とのことでした。

青年のいちばんの親友は、学生時代に同期だった男性。2人ともそれほど気の向かない仕事をダラダラと続け、今に至るまで同程度の年収だといいます。また、プライベートも似たようなもので、長く打ち込むような趣味もなく、女性との付き合いも得意な方ではなかったようです。

結果として、次々に結婚していく周囲をよそに、彼らがつるむ頻度も増えていったといいます。土曜の夜、いつもの居酒屋で、酔いとともに飛び出す愚痴の数々……上司が嫌だ、自分たちがモテないのはおかしい、あの有名人が嫌い、楽してカネが欲しい、などなど。それでも20代のうちは「そうは言っても、いつか人生が好転するだろう」という思いがあったため、愚痴を言うのもどこか楽しかったと青年はいいます。

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