誤解多し「男性ホルモン」皆が知らない重要な働き 男も女も不可欠「死ぬまで元気」のカギを握る

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男女の更年期以降の健康のカギを握る「テストステロン」とは?(写真:Luce/PIXTA)
人間には人生に2度、避けては通れないホルモンの分泌量が大きく変わる時期があります。1度目は思春期。そして2度目は更年期。
更年期というと女性のものというイメージがあるかもしれませんが、実は男性の6人に1人は更年期障害になるといわれています。男性の場合、女性の閉経のような節目がないため、自分では気づきづらいのがネックなのだとか。
年を重ねるにつれ、物覚えが悪くなる、ちょっとしたことで不安を覚えるようになる。これらはすべて、男性ホルモンのテストステロンが少なくなっているからだと、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長、医学博士の関口由紀さんは言います。『性ホルモンで乗り越える 男と女の更年期〜知っておきたい驚異のテストステロンパワー』を上梓した関口さんに、本書を抜粋しながら、男女別の更年期障害への対処法について3回にわたって語っていただきました。

元気ホルモン=テストステロン

日曜日の夜6時半といえば? そう答えは「サザエさん」! みなさんも一度は見たことがあるはずです。

サザエさんのマンガの連載がスタートしたのは1949年。今から約70年以上前になります。当時の日本人の寿命は、まだ50歳ぐらいでした。おとうさんの波平さんは54歳で、奥さんのフネさんは52歳という設定。私はてっきり、もっと年上だと思い込んでいました(苦笑)。見た目はいかにもおじいちゃん&おばあちゃんという雰囲気でしたよね。

今ならたとえば、福山雅治さん、郷ひろみさん、石田ゆり子さん、大地真央さんなどが近い年齢ですが、みなさん年齢を感じさせない50代、60代の方ばかり! 私も波平さんの年をいつの間にか越えているのにびっくりします。70代、80代、90代でも若々しい方、たくさんいらっしゃいますよね。

ただし、ただし、です。寿命が延びても女性の閉経が50歳前後というのはエジプトの時代から変わっていません。どんなに生活環境が整い、医療が進化しても、妊娠・出産という命にかかわる激務から女性を解放する神様の采配なのでしょう。卵巣の機能は低下し閉経が訪れます。人間も生き物であることを忘れてはいけません。

そして日本人の平均寿命は、2020年では女性が87.74歳、男性が81.64歳と、いずれも過去最高を更新。先程ご紹介したように、年齢のとらえかたも、重ねかたもすっかり変わってきています。もはや「老化と年齢はシンクロしない」時代。それは医学的にも明らかになっています。若々しさや元気さは年齢では判断できなくなったのです。

泌尿器科医である私は、35年もの間、更年期障害を含めた延べ3万人を超える女性患者さんたちと向き合ってきました。今も、毎日外来で診察を続けています。そこでうかがう心身の不具合のエトセトラは、出産、妊娠、閉経、フェムゾーン(腟と外陰)トラブル、尿漏れ、骨粗鬆症、うつ症状など。それらのすべてに体内の性ホルモン環境が大きくかかわっていると実感してきました。

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