V6三宅健の退所に見る「40代でアイドル」の真価 "職人集団"と言わしめたアイドルが築いたもの

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三宅健
「ジャニーズであること、アイドルであることをずっと誇りに思ってやってきました」とコメントした三宅健氏(写真:ジャニーズ事務所公式サイトより)

V6三宅健がジャニーズ事務所を退所することを発表した。今でもTwitterのプロフィール欄には「43才 職業アイドル」と記載しているように、入所から30年、徹底的にアイドルであることを貫いてきた。一貫したプロとしての姿勢にはファンのみならず、一般の視聴者からも賞賛の声が多い。その三宅が、ついにジャニーズアイドルから卒業する。(文中敬称略)

アイドルという枠に収まらない「V6」

アイドル・三宅健の実像に迫るために、まずは簡単にV6について振り返っておきたい。1995年にデビューしたV6は、近年、“職人集団”と形容されることが多かった。

メンバーの岡田准一は「10年目の時『それぞれが職人のように極めたものを持って頑張ろう』みたいな話があって」と振り返る(『別冊カドカワ』2015年7月29日号)。

この10年目とはデビューから10周年の2005年のことで、この年、岡田主演の映画『花よりもなほ』(是枝裕和監督、2006年公開)の撮影が行われるなど、映画俳優としての出演が増加していた。さらに同年、森田剛も初舞台を踏み、その後、劇団☆新感線蜷川幸雄演出の作品に主演することになるなど、舞台俳優として頭角を現していく。

そこから個々の活動は活発になり、2021年に解散するまでの約15年間の中で、井ノ原快彦は司会者としてNHK「あさイチ」で朝の顔を務めるまでになり、長野博はグルメ本を出すほど食の道を究め、坂本昌行はミュージカル俳優として地位を確立。三宅は手話を覚えNHK「みんなの手話」のナビゲーターになり、パラリンピック番組のパーソナリティーも務めた。

逆の言い方をすれば、V6のメンバーが、解散後の今も各々に活躍できているのは、この15年の間にアイドルという枠に収まらない部分の研鑽を行ってきたからと言ってもいいだろう。

時間をかけて技を磨き、各々の道を究めたV6のことを“職人集団”と呼ぶ声も多く、そこには異論がない。だが、“職人”という言葉がひとり歩きしすぎることで、V6の、特にそのメンバーの中でも三宅健の重要な資質が見落とされてしまうことを少しだけ懸念している。

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