差別発言「オフレコ破り」記しておきたい重要論点 政府関係者も企業幹部も一般人も心得ておきたい事

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ボイスレコーダーでの録音
「1億総メディア時代」に注意すべき鉄則とは(写真:Graphs/PIXTA)

同性婚を巡る差別発言で更迭された荒井勝喜・前首相秘書官。同氏は記者団に「(同性婚の人が)隣に住んでいたら嫌だ」「同性婚を導入したら国を捨てる人もいると思う」と語ったとされます。

こうした発言は言語道断ですが、今回はもう1つ物議を醸した点があります。新聞記者が報道した荒井氏の発言が、オフレコを前提とした取材だったことです。この差別発言を巡るオフレコ破り。「自分は政府関係者ではないから関係ない」と考えている人も多いでしょう。しかし、インターネットやSNSが普及した今、今回の一件は普通の人も「他人事ではない」と思ったほうが良さそうです。

そもそもオフレコって何? オフレコ取材の現場とは?

東京・霞が関の中央省庁の一室。出席した10数人の記者の下座に陣取り、ペンもノートも持たず、省庁幹部が長々と話す内容を必死に記憶。知らない専門用語は「記号だ」と思って、冷や汗をかきつつ頭に刻み込む。1時間の懇談が終わったらすぐにパソコンに向かい、記憶した内容を大量のメモにして先輩記者らと内容を共有する――これは若手記者だった私が、初めてオフレコ懇談に出た時の様子です。これを振り出しに何度も政府関係者のオフレコ懇談や会見を経験しました。

そもそもメディアの「オフレコ取材」とは何でしょうか。「オフレコ」とは「オフ・ザ・レコード」の略。録音・録画を認めず、発言内容も報じない、あるいは実名で報じないことを前提に行う取材です。オフレコを前提とすることで、当事者の本音や政策決定の舞台裏を聞き出せますし、解説記事の参考になるケースもあります。

オフレコ取材を積み重ねて真実に迫ることもあります。被取材者も匿名なら話せることがあり、より多くの情報を読者や視聴者に伝えられる手段でもあります。もちろん、情報発信者の立場を守ることにもつながります。

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