関西私鉄「車両カラー」、あなたの好みはどれ? ラッピングでもあっと驚くデザインが続々登場

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阪急8000系。ステンレス車体の採用が検討されたこともあった(写真:のりえもん/PIXTA)
関西の大手私鉄各社の車両、駅、サービスなどを比較検討した『関西の私鉄格差:近鉄 南海 京阪 阪急 阪神』(KAWADE夢文庫)の一部を抜粋して紹介します。

関西大手私鉄は他の地域と比較すると、車両のカラーリングへのこだわりが強いように思う。その最たる私鉄が阪急である。阪急電車がまとう独特の茶色「マルーン色」は関西はもとより、全国に知れ渡っている。

阪急「マルーン」塗装のひみつ

阪急は創業時からマルーン色を守ってきたが、じつは塗装の変更も何度か検討されてきた。

1950年代に登場した初代1000系では、新型をアピールすべく、設計段階で窓まわりを白色に塗装することが検討された。近年では、1989年登場の8000系を製造する際に、ステンレス車体の採用を検討したという。

もし、ステンレス車体を採用していれば、少なくともマルーン色主体の塗装ではなかっただろう。いずれもマルーン色へのこだわりから、大胆な塗装変更は幸いにも(?)実施されなかった。

それでは、絶対に塗装変更を実施していないかといえば、答えは「ノー」だ。1975年登場の特急専用車両6300系では、上部にアイボリーの帯が引かれた。アイボリー塗装の着想は、赤色の車体に鮮やかな白屋根で知られるスイスの登山電車から。このアイボリー帯によりマルーン色が引き立ち、特急専用車両として他形式と比較すると「目立つ車両」になった。

その後、アイボリー塗装は7000系・7300系では見送られたが、1980年代末登場の8000系・8300系で再び採用された。その後、リニューアルした5000系までさかのぼってアイボリー塗装が施され、現在ではマルーン1色の車両に出会うほうが難しくなっている。

阪神は、普通系車両と急行系車両で、塗装が大きく異なる。現在ではさまざまな塗装パターンが見られるようになったが、普通系車両は青系統の塗装が用いられている。いっぽう、急行系車両はオレンジ系統の塗装が施されており、全体的に明るい印象だ。

以前はもっと判別しやすく、急行系車両はクリーム色と赤色、普通系車両はクリーム色と青色に統一されていた。塗装色から、急行系車両は「赤胴車」、普通系車両は「青胴車」と呼ばれていたが、2020年に「赤胴車」は引退した。

残る「青胴車」も、近々引退する予定だ。昭和の阪神を象徴する塗装だっただけに「昭和も遠くなりにけり」と感じる人も少なくないだろう。

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