ディズニー人喰いドラマ「ガンニバル」惜しい1点 原作は累計発行部数「215万部」のヒット漫画

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二宮正明の漫画原作を実写化し、柳楽優弥を主演に迎えた「ガンニバル」はディズニープラス初の日本発サイコスリラー作品(画像:ディズニープラス)
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Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

柳楽優弥と吉岡里帆が口の悪い夫婦役

ディズニープラスの目玉作品として配信スタートした柳楽優弥主演サイコスリラードラマ「ガンニバル」の全7話が2023年2月1日に揃ったところです。架空の人喰い村を舞台に日本特有の怖さをうまい具合に落とし込み、ディズニーが攻め始めていることを印象づける配信オリジナル作品です。完成度の高い傑作ですが、それなりに課題もあります。その理由を解説します。

原作は累計発行部数215万部を超える二宮正明による同名タイトルのヒット漫画です。タイトルの「ガンニバル」の意味は、人喰い殺人鬼の代名詞である「ハンニバル」と同じく、「H」の代わりに「G」に置き換えて読むロシア語を由来としているようです。

要は人が人の肉を食べるカニバリズムを描くもの。ディズニーの一般的なイメージとは程遠い内容に驚きもしますが、ディズニープラスにはマーベル作品やゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」などディズニー色にとらわれない作品群を扱う公式ブランド「スター」があります。

スターブランドを打ち出すなか、2022年秋から日本発オリジナルドラマの提供が始まり、「ガンニバル」は初のサイコスリラー作品になります。日本のサイコスリラーは一味違う。そんな期待感を冒頭から表現しています。

柳楽優弥が物語の主人公である警察官の阿川大悟を演じ、愛着が湧くキャラクター性が作品の持つ独特の世界観を理解しやすくもしています。人喰いの噂のある村に左遷され、家族と共に村の駐在所に移り住むことになった阿川(柳楽)は一見すると家族思いの平凡な男ですが、実は暴力的で口が悪い。人を殴ることに快感すら覚えていそうな表情を演技派の柳楽が巧みに作り出し、「ボケカスが」「面倒くせえ」といった乱暴な物言いがかえって嘘をつけない性格を表すようで、信頼できる人物像に仕上げています。

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