ついに試走開始、フランス「新型TGV」成功する条件 実験線で耐久走行、2024年冬の営業運転目指す

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アルストム「アヴェリア・ホライズン」
チェコ共和国・ヴェリムの試験センターでテスト走行を行うアルストム製新型高速列車「アヴェリア・ホライズン」(撮影:橋爪智之)
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フランスのアルストム製次世代型高速列車「アヴェリア・ホライズン」(Avelia Horizon)が2023年2月9日、チェコ共和国ヴェリムにある試験センターで本格的なテスト走行を開始した。

アヴェリア・ホライズンは、フランス国鉄(SNCF)の高速列車TGVの次世代型「TGV-M」として、現行の「ユーロ・デュプレックス」に代わるフルモデルチェンジ車となる。2022年12月9日にアルストムの工場からチェコへ到着した同車は、動作確認などでわずかに動くことはあったが、これまで本格的なテスト走行には至っていなかった。

テスト走行開始の翌日は車体前面に金網状のセンサーが取り付けられ、時速200kmの高速度で長時間の耐久運転試験を行っていた。フルモデルチェンジの最新型車両ということで関心は高く、テストの開始は大きな注目を浴びた。

少なくとも今年夏頃まではテストが続けられる予定で、アルストムは2024年12月の冬ダイヤ改正に営業運転へ投入できるよう、それまでに認証プロセスをすべて完了させることをSNCFに約束した。

5世代目のTGV

1981年に営業を開始したTGVは、これまで4世代にわたって進化を続け、アヴェリア・ホライズンは5世代目に当たる。ユーロ・デュプレックスと同様、最高時速300km以上で走行できる世界で唯一の2階建て車両でもある。

アルストムは2018年7月に、まずフランス国内用の複電圧仕様100編成を27億ユーロ(約3871億円)で初受注、その後同年8月にはオプションとしていた国際線向け4電圧仕様15編成を5億9000万ユーロ(約846億円)で正式に受注した。

アヴェリア・ホライズンはアルストムの高速列車用プラットフォームではあるが、最重要顧客であるSNCFのTGVとして使用することを前提として、2017年に両社はイノベーション・パートナーシップを結んで共同開発した。メーカーと運行会社がそれぞれの目的を満たす最適な設計に到達するのに18カ月を要したと、アルストム高速列車プラットフォーム担当副社長は語っている。

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