中国鉄鋼最大手が「経営のグローバル化」を加速 宝武鋼鉄、中東やアフリカに続々と拠点建設

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(写真は同社ウェブサイトより)

中国の国有鉄鋼最大手の中国宝武鋼鉄集団(宝武鋼鉄)が、経営のグローバル化を一層加速しようとしている。複数の大型プロジェクトを同時に推進することで、これまで空白だった海外拠点の建設に力を注ぐ方針だ。

「グローバル化(の成否)は、わが社がさらなる成長を遂げるための最大のボトルネックであり、難関だ」。宝武鋼鉄の董事長(会長)を務める陳徳栄氏は、2月6日に開催された年次経営会議でそう強調した。

宝武鋼鉄は2022年に1億3200万トンの粗鋼を生産した世界最大の鉄鋼メーカーだ。しかし陳氏に言わせれば、グローバル市場における同社の総合的な競争力はまだ十分ではない。

「例えばステンレス鋼を中国で生産すると、1トン当たりのコストはインドネシアより2000元(約3万8700円)近く高い。グローバル化の歩みを止めれば、わが社の競争力は低下する一方だ」(陳氏)

リオ・ティントと合弁設立

宝武鋼鉄は数年前から着々とグローバル化の布石を打ってきた。皮切りは2021年9月、グループの中核企業である宝山鋼鉄が世界最大の原油生産企業であるサウジアラビアのサウジアラムコと共同で、高品質の厚板製品の一貫生産工場をサウジアラビアに建設することに合意したことだ。

2022年8月には、中国のステンレス鋼大手の青山控股集団がインドネシアに持つ年間生産能力50万トンのニッケル銑鉄生産ラインの買収に合意。取引価格は30億~40億ドル(約3937億~5249億円)に上る見込みだ。

本記事は「財新」の提供記事です

同年9月には、アフリカ・ギニアのシマンドゥ鉄鉱山の開発に参入すると発表。さらに同月、オーストラリア西部のウェスタンレンジ鉄鉱山を開発するため、英豪資源大手のリオ・ティントと合弁会社を設立することに合意したと明らかにした。

(財新記者:羅国平、施毅敏)
※原文の配信は2月6日

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