「餃子の雪松」が全国制覇しても絶対変えない流儀 現金商売の原点は“商店街の息子たち"にあり

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全国各地で見ることができる「餃子の雪松」の無人販売店(写真:YES)
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ここ数年で、各地に店舗を増やした業態のひとつに「冷凍餃子の無人販売」がある。

その人気をリードするのが「餃子の雪松」だ。メディアに登場する機会も多く、最新の店舗数は「432店」(2023年2月2日現在)となり、そのすべてが直営店。北は北海道から南は鹿児島県まで、沖縄県以外の全国各地に店を構えるようになった。冷凍餃子を買って食べた人もいるだろう。

店舗拡大したのがコロナ禍と同時期なので、「(売り上げ不振で)居抜きとなった飲食店跡地に出店」とも報道されたが、実はそうではない。その出店戦略は後述する。

そもそも、なぜ「餃子」に目をつけ、どうして現在のやり方にこだわるのか。事業の立ち上げ人の1人に話を聞き、「日本の生活者にとっての餃子」も考えてみた。

無人店舗の現金販売、代金は箱に入れる

「餃子の雪松」は現在、24時間営業の無人運営。商品は36個入りの冷凍餃子で1000円(税込み)、1種類のみの単品販売だ。特製の「たれ」も1個200円で販売し、客が冷凍庫から商品を取り出し、購入商品の合計額を自分で計算し、備え付けの箱に現金を入れる。

店舗内はシンプルだが、見えない部分で運営コストがかかっているという(写真:YES)

キャッシュレスはなく、お釣りも出なければ領収書も発行されない。防犯カメラは設置されているが、利用客の性善説に委ねる運営だ。400店超でも不採算店は1店もないという。

「無人販売方式で店舗展開を始めたのは2019年7月からで、その1号店は大泉学園店(東京都練馬区)でした。『雪松の餃子を全国に広めたい』思いで、2022年に沖縄県以外の46都道府県に出店することができました」

「餃子の雪松」を運営する株式会社YESの高野内謙伍さん(マーケティング部 部長)はこう話す。沖縄出店も計画したが物流面で採算が合わず、まだ実現できていない。

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