「セブンとイオン」意外と知らない稼ぎ方の差 似ているようで異なる2つの大手流通グループ

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セブン&アイ・ホールディングスとイオンの違いとは(写真:編集部)

大手流通グループのセブン&アイ・ホールディングスとイオン。消費者がスーパーで買い物を普段するとき、イトーヨーカドーやイオンスタイルの運営元のビジネスモデルを意識する人は多くない。しかし、経営状態をよく見てみると、この2つのグループの似ているようで異なる実態が浮かび上がってくる。

セブン&アイは何で稼いでいるのか

セブン&アイ・ホールディングスの2023年2月期第3四半期決算は、営業収益8兆8237億円(前期比+43.5%)、営業利益3948億円(前期比+30.4%)と、大幅増収、増益を達成。通期業績予想も上方修正して、過去最高の営業収益、利益を達成する見込みとなった。増益の要因としては、海外コンビニ事業におけるガソリン粗利の拡大や、為替差益を反映したことが大きい。

セグメント別業績予想をみると、セブン&アイはまさに巨大なグローバルコンビニエンスストアとなっていることがわかる。営業収益の8割超、営業利益のほとんどが国内、海外合わせたコンビニエンスストア事業に集中しており、このグループの祖業たるスーパーストア事業(イトーヨーカ堂など)は営業収益こそ12%程度を占めるものの、ほとんど収益貢献していない。

それ以上に存在感の薄い百貨店事業と併せて、アクティビストに事業投資の見直しを求められるのも当然かもしれない。百貨店事業は約2500億円で売却されるとして話題になったが、この投資額をコンビニに集中させれば、より高い収益を生むだろうという指摘もよくわかる。これらを見ていくと、セブン&アイは、すでに総合小売業大手ではないのだろう。

2大流通のもう1社であるイオンの状況はまた違っている。2023年2月期第3四半期の営業収益は6兆7217億円、営業利益1126億円、通期での予想は営業収益9兆円、営業利益2100億~2200億円と発表された。収益力でセブン&アイに比べてかなり見劣りするうえに上方修正要素もないことから、株式市場の評価もいま一つで、決算発表後も株価はさえない。

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