ブガッティ「W16ミストラル」7億円でも高くない訳 それでも「収支が難しい」超高級車は大転換期へ

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最後の純エンジン車としても歴史に残るであろうW16ミストラル(写真:BUGATTI)

最大出力1600ps、最大トルク163kgm、最高速度420km/h――。

オープンボディとして間違いなく世界最速記録となるであろう、ICE(内燃機関エンジン)搭載モデルとして最高のパフォーマンスを誇るブガッティ「W16ミストラル」が日本上陸を果たした。

このスタイリッシュなロードスター、W16ミストラルはブガッティにおける最後のICEモデルであると宣言されており、ブガッティ史に残る1台となることは間違いないであろう。

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ブガッティは、1909年にモルスハイム(フランス)に創立された老舗スポーツカーメーカーだ。エレガントで高性能なスポーツカーは、富裕顧客から大きな支持を得て、レースで大活躍したほか、公道走行可能なラグジュアリーカーも製造した。

いずれも創始者エットーレ・ブガッティの眼鏡にかなった顧客のみに限定数を販売する、というマーケティング手法が特徴とされる。その希少性を重視したビジネス手法は、フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリがお手本にしたとも言われるものだ。

1947年にエットーレ・ブガッティが死去すると事業は終焉に向かい、しばらくの間ブガッティのブランドは途絶えたが、1987年にイタリア人事業家のロマーノ・アルティオーリにより復活。最新鋭のハイパフォーマンスカー「EB110」の生産を開始する。しかし、財政破綻のため、あえなく倒産してしまった。

W16ミストラル発表に際して来日したエグゼクティブたち(ブガッティ東京にて筆者撮影)

そして、1998年にフォルクスワーゲンがブガッティブランドを取得し、突出したハイパフォーマンスを誇る少量生産スポーツカーとして成功させ、現在に至る。そう、ブガッティは波瀾万丈な歴史にもまれ、インターバルはあるものの、エットーレ・ブガッティの思想を引き継いだ“究極のクルマ作り”が今も続いているのだ。

W型16気筒エンジンをミッドマウント

W16ミストラルは、2005年に発表された「ヴェイロン」、そして2016年に発表されたその進化形「シロン」をベースとして開発された。いずれもダラーラ製の強固なCFRPセンターモノコックにW型16気筒エンジンをミッドマウントするというスタイルをとる。車名にも使われている“W16”とは、この特別なエンジンが搭載されていることを意味するものだ。

W16エンジンは、V8エンジンを2基組み合わせ1本のクランクシャフトを駆動するもので、横から見てアルファベットのWに見えるということからそう命名されている。

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