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日本の脱炭素は「再エネ」をもっと議論すべきだ 政府の「GX」政策を国際大学の橘川副学長に聞く

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2月10日に閣議決定されたGX基本方針。日本のエネルギー構造の大転換につながるのか。

インタビューを受ける国際大学 副学長 橘川武郎氏
橘川武郎(きっかわ・たけお)/国際大学 副学長。東京大学教授、一橋大学教授、東京理科大学教授などを経て現職。研究分野はエネルギー産業論、日本経営史。経済産業省・総合資源エネルギー調査会基本政策分科会委員。近著に『メタネーション』(共著)。(撮影:尾形文繁)

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GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針はカーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギー構造の抜本的な転換を促すのか。
国内外のエネルギー事情に詳しい橘川武郎・国際大学副学長に聞いた。

──GX基本方針の策定過程では、原子力発電のあり方が注目されました。

原子力政策が大転換したかというと、まったく違う。決まったのは、実質的に既設炉の運転延長だけだ。

次世代革新炉については「建て替え」という文言が盛り込まれたが、いつどこに造るかはまったく言及がない。古くなった原発の運転延長は、新しい原発への建て替えと比べて事故の危険性や突然停止するリスクが高くなる。しかし、コストが安く済むため電力会社は運転延長を優先し、次世代革新炉への建て替えには及び腰になる。

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