津軽線、「鉄道存廃議論」の先にある地元の課題 蟹田―三厩間が存続しても住民連携は不可欠

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JR津軽線・蟹田駅の南方を走るGV-E400=2023年1月(筆者撮影)
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津軽半島を走るJR東日本の地方路線・津軽線をめぐって2023年1月18日、沿線の外ヶ浜町・今別町と青森県、JR東日本盛岡支社による協議が始まった。2022年8月の豪雨被害で運休中の蟹田―三厩間を復旧させるか、別の交通体系を選ぶかを検討する。

鉄路の存廃いずれの場合でも、地域交通網の根本的な再構築、そして住民との連携をベースにした「人口減少社会の再デザイン」が不可欠だ。

国の想定とは別の組織

協議はJR東日本側の提起に県、地元2町が応じる形で、「今別・外ヶ浜地域交通検討会議」を設置して始まった。国の有識者検討会議が2022年7月、利用の少ない地方鉄道の在り方を検討する組織として提言した「特定線区再構築協議会」は国が主導する想定だった。今回の協議会は仕組みが異なる。

蟹田―三厩間は2022年8月、2度にわたる記録的豪雨により、路盤が流出して線路が宙づりになるなど大きな被害が発生した。同じ豪雨で、奥羽本線の鷹ノ巣―大館間、五能線の岩館―深浦間と深浦―鯵ヶ沢間も甚大な被害を受け、長期運休に追い込まれた。いずれも直前の7月末にJR東日本が区間別収支を公表した「利用者の少ない路線」に含まれ、地元には「そのまま廃線」というシナリオへの警戒感が漂った。

津軽線と周辺の略図
津軽線と周辺の略図(地理院地図から筆者作成)
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