今は「金を買う絶好のチャンス」かもしれない 中期では再び1トロイオンス=2000ドル突破へ

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円の価値が落ちているだけに金価格の動向は気になるところだ。ETF(上場投資信託)などでコツコツ投資するのもいいかもしれない(写真:keikou/ PIXTA)

今後の金(GOLD)価格はどうなるのだろうか。金は金利がつかないだけに、金利上昇局面では下落、金利下落局面では上昇しやすい。実際、昨年の金価格はアメリカの利上げを嫌気する形で、昨年11月に1トロイオンス(約31.1グラム)=1600ドル台前半まで下落していた(NY先物市場)。だが、その後利上げ打ち止め感が出ると急速に上昇。直近は1トロイオンス=1970ドルを突破、2000ドルをうかがうところまで上昇していた。

1月の雇用統計で「金利先安感」が後退した

だが、2月3日に発表されたアメリカの1月雇用統計は、非農業雇用数が前月比51.7万人増と、事前予想をはるかに上回る大幅な伸びとなった。しかも、失業率は3.4%と前月の3.5%から低下、1969年5月以来の低水準を記録。同国の景気が依然堅調であることを示す「強気のサプライズ」となった。

その直前、2月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の予想通り、利上げ幅は 0.25%に引き下げられていた。

声明発表後、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は「年内利下げ転換」を期待してやや過熱感も出ている市場に対して、積極的にそれを抑制する姿勢までは見せなかった。結局、株式市場はこれらを好感する形で急伸、金価格も堅調に推移していた。だが、好調な雇用統計発表後、そうした楽観姿勢は一瞬にして崩れ去ったと言っても過言ではない。

もちろん、雇用市場に対する見通しは、決して強気一色ではない。ここへきてハイテク大手や金融機関をはじめ、大幅な人員削減を発表する企業が相次いでおり、2日に人材派遣大手のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社が発表した1月の企業解雇予定数は10万2493人と、新型コロナウイルスの感染爆発を受け経済活動停止の影響が残っていた2020年9月以来の高水準となった。

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