上手な文章をスラスラ書く人「メモを重視する」訳 「気になったことは書き留める」が文章上達の鍵

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「メモを取る」。このひと手間が、あとあと文章を書くときに大きな差を生みます(写真:Graphs/PIXTA)
雑誌や書籍、Webメディアなどで健筆をふるう一方で、著者に代わって本を書くブックライターとしても活躍する上阪徹さん。20年以上のキャリアの中で担当した書籍は100冊超、多いときで1日2万字を書くといいます。
ところが意外なことに「20代の頃は書くことが苦手だった」とか。なぜ、苦手を克服できたのでしょうか。どうすれば、スラスラと文章を書けるのでしょうか。本稿では、上阪さんの実体験から生まれた新刊『メモする・選ぶ・並べ替える 文章がすぐにうまく書ける技術』の一部を抜粋し、ちょっとした発想転換で誰でも実践できるコツを3回にわたって紹介します。2回目は「メモ力」がテーマです。

新聞記者のメモの中身は「素材」

文章は「素材」でできています。「素材」とは、事実、数字、エピソードのこと。必要なのは、起きたこと、得た数字、エピソードやコメント、感想などの「素材」をしっかりメモしておくことです。

「素材」さえあれば、文章は書けます。逆に書けないのは、「素材」が揃えられていないから。実は「書き方」に問題があるのではなく、「素材」が集められていないことにこそ、問題があるのです。

実際、「書き方」の本を何冊も読んだのに、文章が書けない、という人から相談を受けたことがあります。それは当たり前です。「素材」がないのに書こうとしたら、私自身が20代に苦しんだように、言葉を探したり、見つけたり、創り出そうとして悪戦苦闘することになってしまいかねないからです。

書くのが苦手という人は、「素材」に目を向ければいいのです。それこそ、LINEのコミュニケーションには困っていないことに気づいてほしい。LINEは「素材」をやりとりしているだけだからです。

そして文章が書ける人も、実はちゃんと「素材」を意識している、というわかりやすい事例を紹介しておきましょう。それは、記者です。そして記者が必ずやっていることがあります。「メモ」です。

新聞記者しかり、雑誌記者しかり、彼らは必ずメモ帳を手にしています(いまはICレコーダーも多い)。なぜ、記者はメモ帳を手にしているのか。そこに「素材」をメモしていくためです。

そうなのです。文章の「素材」というのは、実はあちこちに転がっているのですが、ぜひ知っておいてほしいのは、すぐに忘れてしまう、ということなのです。だから、「メモ」が重要になる。「メモ」をしておかなければ、「素材」を忘れてしまうのです。

だから、記者は「メモ」を取るのです。

書く仕事をしている私も、メモを取ります。しかも、膨大な量のメモを取ります。もしくは、ICレコーダーで録音する。なぜなら、忘れてしまうからです。

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