ゴルフ2大メーカーが毎年新作クラブを出す理由 100万本販売・前年比+16%、好景気のゴルフ業界

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テーラーメイドのステルス2とキャロウェイのパラダイム。新商品発表会より(写真:筆者撮影)

2023年1月の第2週、ゴルフメーカーのテーラーメイドとキャロウェイの新商品発表会が中1日あけて都内で開催された。テーラーメイドは「STEALTH(ステルス)2」、キャロウェイは「PARADYM(パラダイム)」である。

飛びとやさしさを追求した新作

今回、2社が打ち出した機能はともに「飛びと寛容性」だ。テーラーメイドは飛ぶ「FAR」と寛容性「FORGIVENESS」を組み合わせて「FARGIVENESS」という言葉をキーにしてプロモーションをしている。対して、キャロウェイは「ばらけない飛びでパラダイムシフト」という言葉で、「飛び」と「やさしさ」を新たに実現したという。

「飛び」はシンプルに飛ぶこと、「やさしさ」はボールを打ったときに、球が上がりやすい、芯をはずしても飛距離が落ちにくい、曲がりにくいなどを体感できることをいう。アマチュアゴルファーの打点のバラツキは±2センチといわれており、プロゴルファーのそれは±2ミリである。

テーラーメイドのステルス2は、昨年のステルスに続いて、フェース部にカーボンを採用している。一般的にはチタンのほうが反発係数(はねかえりの力)が高い。それについてはテーラーメイドも、「カーボンフェースの反発はチタンに比べて良くなく、反発係数に注目していたらカーボンではなかった」と明言する。

それにもかかわらずカーボンにこだわるのは、「20年以上カーボンの可能性について研究し続け、カーボンフェースはチタンに比べ、フェース部分を50%以上軽量化でき、エネルギー伝達効率が良くなり、その効果でボールスピードを上げることができる」といった理由からである。結果的にクラブのカーボンフェースを前モデルより2g軽くすることができた。

ステルス2の解剖図
ステルス2の解剖図。新商品発表会より(写真:筆者撮影)

これに対し、キャロウェイはフェースにカーボンを採用せず、チタンを採用している。チタンに比べて反発係数が高いことが採用の理由であろう。また、ボディ部分に業界初の360°カーボンシャーシ(フェース部とヘッド後方のウエイト部との間のボディ部分がカーボン素材のみの構造)を採用し、最大限の軽量化を目指した。

パラダイムの解剖図
パラダイムの解剖図。新商品発表会より(写真:筆者撮影)
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