家が売れないと嘆く人が知らない「業界の裏事情」 公平性に乏しい「不動産の商習慣」再考が必要だ

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売主、買主双方が笑顔になれるのが本来の不動産売買のあり方です(写真:SoutaBank/PIXTA)

圧倒的な低金利を背景に、日本の住宅市場は好調を維持している。2022年末、ついに日銀が長期金利の上限幅を0.5%程度へと拡大する事実上の利上げを発表。住宅ローンをはじめとする日常生活への影響が懸念されている。

とはいえ、現時点で直接的な影響を受けているのは長期金利を参考にする固定金利であり、短期金利を参考にする変動金利を選択する住宅購入者が大半であることから、利上げの影響は限定的といえる。

さらにコロナ禍による在宅勤務をきっかけに、住まいや住環境を見直す流れが加速。現在も住宅取得ニーズは衰えておらず、しばらくは好調のまま推移していくだろう。

人気エリアでも希望通りに「売れない」なぜ?

しかしながら、「不動産が売れない」という売主の声を聞く機会は少なくない。よくよく耳を傾けると、すでに不動産仲介会社に売却を依頼しているのに「売れない」というのである。そればかりか、買主候補者から内見申し込みも入らず、値下げを求められている状況だと。

売主の多くは、年齢や家族の事情などライフステージの変化を理由に不動産の売却に至るため、迅速な現金化を希望するケースがほとんどだ。

そのため、販売を任せた不動産仲介会社から「買手が見つからない」「相場より価格を下げたほうがいい」と提案され、希望価格よりも低い金額での売却を余儀なくされることもある。活況を呈する不動産市場において、にわかに信じがたい話ではないだろうか。

売れないのは、不人気のエリアの物件だからだろうと思う方もいるかもしれない。しかし、ファミリー層に人気のある都内某区でも希望通りに「売れない」と嘆く売主はいるのである。なぜこのような事態が生じてしまうのだろうか。

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