ブラックサンダー「30→35」値上げが理解集めた訳 硬軟織り交ぜたPRが好意的な反応につながった

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ブラックサンダー
2023年3月20日発売分から価格改定される有楽製菓の「ブラックサンダー」(写真:編集部)

有楽製菓のチョコレート菓子「ブラックサンダー」が、2023年3月20日発売分から価格改定されることが今週明らかになり、大きな話題となっている。

具体的にはブラックサンダー4品が8.3〜16.7%の改定となり、1個30円(参考小売価格、税別)のブラックサンダーは、35円に値上げされる。原材料・包装資材の価格高騰や、物流コストの上昇などを理由としており、1994年のブラックサンダー発売以来、初めての値上げとなった。

なにかと値上げされる昨今。だが、ブラックサンダーの値上げについては他と反応が異なっている印象だ。ツイッターを見ていくと「今までよく頑張った」「値上げしてもこれからもお世話になります」「お値段据え置きでサイズが小さくなるよりはいい」といった、好意的な反応が多く寄せられているのだ。

他の食品値上げでは批判的な声も多いのに、ブラックサンダーの価格改定は受け入れられているのはなぜか。長年ネットメディア編集者として、そのPR戦略を傍観していた筆者は、硬軟ギャップのあるストーリー性が、多少の値上げでは揺るがないような、確固たるブランドイメージを築き上げたのが要因ではないかと考える。

過去の出来事を振り返りつつ、ブラックサンダーの値上げが理解を集めた背景を紐解いていこう。

30年近くにわたるブラックサンダーの歴史

30年近くにわたるブラックサンダーの歴史は、公式ながら「ブラックサンダーファンサイト」をうたう、有楽製菓によるウェブサイトに、詳細に書かれている。

発売翌年、販売不振のため一時生産終了されたが、九州地区から復活を望む声もあり、エリア限定で再販売。大学生協の売れ筋となり、当時大学生協の職員だった「生協の白石さん」に取り上げられると、インターネット上を中心に知名度が広がった。

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