ついに見つけた「隠れた日本の宝」となる110社 「経営戦略の実戦」に込めた経営学者の狙いとは

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信越化学工業の故・金川千尋会長
20世紀に花開いた最大の芸術は大企業の経営であると著者の三品氏は指摘します(写真は信越化学工業の故・金川千尋会長。撮影:高橋孫一郎)
偉大な経営者たちの着眼点を知り、日本経済を牽引してきた企業110ケースについて学ぶ『企業成長の仕込み方』が出版された(『経営戦略の実戦』シリーズ2巻)。
『高収益事業の創り方』(第1巻)、『市場首位の目指し方』(第3巻)を合わせ、約2500ページ、累計464ケースを取り上げて紹介した著者の狙いとは。本シリーズにかけた想いを聞いた。

世界の自動車メーカーを回ってわかったこと

私は1980年代から11年間アメリカにいて、1995年に日本に戻ってきました。

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アメリカにいた時代、トヨタ自動車の張富士夫(元名誉会長)さんにお世話になって、トヨタについて随分勉強させていただきました。

このとき、トヨタがどれほどのものなのか、本当に自分の目で確かめるために、ホンダ、日産、またはGM、フォード、クライスラー、またはヨーロッパの自動車メーカーをずっと回ってみました。

そして、実感として、本当にトヨタはすごいと感じ取りました。

当時は私も30代で、まだ物事がよくわかっていないところがたくさんありました。

けれどもその後、いろんな場所でものを考えるにしたがって、トヨタの舵を取った経営者のすごさがひしひしとわかってきました。

私たちは通常、メディアが報道する記事や日々のニュースを通して、ものごとを断片的にしか見ません。ですが、じっくりと何年かかけてそういう人たちと向き合ってみると、だんだんとその人の仕事の全体像が見えてきます。

この全体像が見えてくると、もう思わず身震いするぐらい、ぞくぞくっとするぐらいに、いや、こんなすごい人が世の中にいるんだということを思い知るのです。

1990年前後に日本的経営と、日本企業が賞賛された時期がありました。ところが1995年に日本に帰ってみると、目の前の現実はどうもそれと違う。

そこで私は、行脚の旅に出て、本当にトヨタは日本(的経営)を象徴するのかという問題意識の下にいろんな工場を見て歩きました。

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