知らぬ間に食べている?食卓にひそむ"問題点" フードテックを享受する人が知らない「真実」

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フードテック
きたる食料危機に備えて、さまざまなフードテックによる食品が誕生しています。写真はイメージです(写真:runa/PIXTA)
未知の部分も多い、ゲノム編集ふぐや培養母乳、ワクチンレタス。それらが知らぬ間に私たちの食卓に並んでいる――そう投げかけ大きな話題を呼んでいる、国際ジャーナリスト・堤未果氏の新著『ルポ 食が壊れる』。3年にわたる国内外の取材から見えてきたのは、華々しいフードテックの裏側にある、消費者が知らない事実だった。今あらためて私たちの“食”について考えてみたい。堤氏に聞いた。

「安全性の根拠」はあるのか

――ゲノム編集食品の規制緩和が日本でも進んでいる現状をどう見ていますか?

近年、ゲノム編集された魚が京都府宮津市のふるさと納税の返礼品に登場し、自治体の首長が絶賛ツイートをしているのが話題になりました。

この魚は、「クリスパーキャス9」という技術を用いて体内の満腹感遺伝子を破壊することで、旺盛に餌を食べるように操作し、通常の1.9倍の早さで成長させたフグで、いま日本政府が強力に開発を進めている、「ゲノム編集食品」の一つなのです。

不安を覚えた市民の声を代弁した市議会議員が「安全性の根拠」を議会で質問したところ、行政側は「国が安全だと言ってます」というだけで根拠は出さず、市民団体が厚労省に問い合わせても明確な回答がありません。新しいテクノロジーなので、誰も長期の影響を示せないのです。

同じ技術で開発された魚に、通常より1.2倍の身があるゲノム編集マダイがありますが、ドイツのバイオ技術影響調査機関「テスト・バイオテック」からは、マダイの椎骨の位置が変わり、骨格障害を起こしていることから、食べた人への影響に強い懸念が出ています。

動物福祉先進国である英国の友人からは、背骨の曲がったゲノム編集魚についてこう指摘されました。「子どもに、説明できますか?」。果たして、日本の私たちはどうでしょうか?

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