「社員も危機感を持て」の号令が機能しない理由 トップダウンもボトムアップもすでにオワコン

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オフィスで踊る社員たち
停滞した組織を変える「決定打」はないものか (写真:metamorworks/PIXTA)
厳しい経営環境を乗り切り組織として成長を続けていくためには、いつの時代でも改革が不可欠だ。改革と言うと、トップが戦略を決めて社員がその方向性に沿った行動をするトップダウンがとられがちだが、実際のところ、コミュニケーション不足により現場まで方針が浸透しているケースは少ない。かと言って、ボトムアップにすると、意思決定や行動するまでの時間がかかってしまう。
どちらも帯に短し、たすきに長し。全世界で新たな経営のバイブルとなっている『リデザイン・ワーク 新しい働き方』著者のリンダ・グラットン氏は、「コ・クリエーション」という第3の方法が、改革のカギになる、と主張する。

トップが笛を吹いても社員は踊らない?

イノベーションが停滞し、仕事の構造を改める必要性が明らかなとき、どんなことが起きるのか。こうしたことに関して言えば、よく練られた勤務スケジュールを確立し、現場レベルのマネジャーに高度なスキルと共感能力を持たせることは極めて重要だ。

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しかし、日々うまくいくかどうかは、社員にかかっている。社員が好意的な態度で臨み、トラブルが起きても前向きな気持ちを失わないことが重要なのだ。では、社員が未来に対して、そして変革の旅路に対してそのような精神を持つためには、どうすればいいのか。

変革のマネジメントにおける古典的なアプローチは、トップダウン型だ。このやり方には、方針が明確になること、目的がブレないこと(メッセージがひとつだけだからだ)、迅速なコミュニケーションが実現すること(ひとりから大勢へのコミュニケーションだからだ)といった利点がある。

実際には、期待どおりの一貫性とスピードが実現しないケースが少なくない。その一因は、社員が必ずしもリーダー層のメッセージを受け入れていないことにある。

言葉自体は聞いていても、その言葉に従って行動していないのだ。仮に行動していても、受動的な抵抗がかなり見られる場合が多い。

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