「部品不足」で社長が広報に指示した「真逆の対応」 「うちにはモノがないと書いてもらえ」の真意

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商品不足に部品不足の中で、マスコミ対応に追われた広報に社長が出した指示とは?(写真:USSIE/PIXTA)
メーカーにとって頭の痛い、商品不足に部品不足。売りたくても売るモノがないという状況でマスコミからの問い合わせにどう対応すべきか、社長が広報に出した指示は意外なものでした。さて、会社はこの危機をどう乗り切ったのでしょうか。現役広報パーソンの著書『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』より一部引用・再構成してお届けします。

「NECはモノがないと書いてもらえ」

昨今、世界情勢はかつてないほどに不安定で、それは産業界にも様々な影を落としています。その一つが、部品などの供給不足です。マスコミも、こうした情勢がどのようにビジネスに影響を及ぼしているかを広報に取材するわけですが、これは影響を受けている企業側としては、なかなか対応に苦慮する取材になります。こうした産業界全体が影響を受ける事態に対する広報で、忘れられない出来事がありましたので、今回はその話をします。

それは2011年のことでした。まだご記憶の方もいるかもしれませんが、当時タイで大洪水が発生し、テレビのニュースなどでも取り上げられていました。海外のニュースということもあり、さほど深刻な話題にはなっていなかったのですが、実はタイに生産設備が集中していたハードディスクドライブ(HDD)というパソコンに欠かせない部品の生産が、壊滅的な打撃を受けていました。

当時私の勤めていたNECパーソナルコンピュータをはじめ、世界中のパソコンメーカー各社で、徐々に品不足が顕在化し始めていました。このことを察知した新聞社から、問い合わせを受けることになります。

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