岸田首相「秋葉氏、杉田氏更迭」もさらに危機続く訳 止まらぬ「辞任ドミノ」、閣僚辞任はすでに4人目

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岸田文雄首相
秋葉賢也復興相を更迭した岸田文雄首相。政権危機はさらに深刻化(写真:ブルームバーグ)

岸田文雄首相は12月27日、秋葉賢也復興相と杉田水脈総務大臣政務官に辞表を提出させる形で更迭した。来年1月下旬召集の通常国会で野党の追及を避けるための措置だ。ただ、岸田政権での閣僚辞任(更迭)は10月以降で4人目となり、過去にほとんど例のない短期間の“辞任ドミノ”で政権危機はさらに深刻化した。

27日午後、秋葉氏は岸田首相に、杉田氏が松本剛明総務相にそれぞれ辞表を提出、受理された。岸田首相は秋葉氏の後任に元復興相の渡辺博道衆院議員、杉田氏の後任に総務官僚出身の長谷川淳二衆院議員をそれぞれ指名。渡辺氏は同日午後の皇居での認証式を経て正式就任した。

今回の“更迭人事”について、岸田首相は官邸で記者団に対し「任命責任を重く受け止めている。山積する課題に取り組み、職責を果たしていきたい」と淡々とした表情で言明。そのうえで、今後、政権の態勢立て直しに全力を挙げる考えを示した。

ただ、国民が大掃除に勤しむ仕事納め直前の“駆け込み人事”ながら、「当初想定されていた問題閣僚の一掃はできず、その場しのぎ対症療法にとどまった」(閣僚経験者)ことで、「内閣支持率アップなど政権浮揚につながるかはきわめて疑問」(自民長老)と見られている。

次期通常国会も辞任ドミノが続く?

残った多くの閣僚や副大臣・政務官の中には、秋葉氏と同様に「政治とカネ」の疑惑や旧統一教会との密接な関係を取りざたされている人物や、体調不安で執務が困難視される閣僚も存在する。このため、次期通常国会以降も辞任ドミノが続く可能性も少なくない。 

このため、自民党内には大幅な内閣改造人事を求める声も出るが、岸田首相は記者団に「少なくとも年末年始の改造は考えていない」と否定した。ただ、迷走を続ける岸田内閣に対して、野党だけでなく国民の眼も一段と厳しさが増しており、岸田首相は年明け以降も綱渡りの政権運営を迫られそうだ。

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