所有してわかる「サクラ/eKクロスEV」受賞の意味 黄色ナンバーを誇れる軽EVが誕生した背景とは

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日産 サクラ/三菱 eKクロス EV
今年の「年クルマ」を選出する「2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー(略称:COTY<Car Of the Year Japan>)」で今年のイヤーカーに選出された「日産 サクラ/三菱 eKクロス EV」(写真:日産自動車/三菱自動車)

2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで、日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」がイヤーカーを受賞した。電気自動車(EV)では、2011-2012に受賞した日産自動車の初代「リーフ」に次いでのことで、軽自動車として初となる快挙だ。

実行委員会が公開する受賞理由は、次のようにまとめられている。

「日本独自の軽自動車規格を採用し、現実的な車両価格でバッテリーEVを所有するハードルを下げ、日本でのバッテリーEV普及の可能性を高めた。また本格的な脱炭素時代を前に、減少するガソリンスタンドや公共交通などの衰退も予想される状況で、軽自動車+バッテリーEVという組み合わせは、高齢者を含めた多くの人の移動の自由を担保するだけでなく、社会的課題解決への可能性を示している。さらに、走行性能についてもハンドリングと動力性能が従来の軽自動車を凌駕しているという声が多く集まった。安全装備も360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)を搭載し、高級車並みの運転支援機能を装備している点も評価された」

日本カー・オブ・ザ・イヤー
日本カー・オブ・ザ・イヤーで軽自動車がイヤーカーに選ばれるのは初となる(写真:日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト)

私も選考委員として最高の10点を配点した。理由は、性能、装備、価格といったあらゆる面で調和がとれ、軽自動車の黄色いナンバープレートを誇りに思える電気自動車と実感したからだ。

偶然ではなく必然、日産自動車と三菱自動車の戦略

費用対効果の面で、55万円の補助金を前提とするとはいえ、サクラとeKクロスEVが軽自動車のガソリンターボエンジン車並みの価格に近づけられた背景には、三菱自動車が2009年に軽EVの「i-MiEV」を、そして日産自動車が2010年に登録車のリーフを発売して以来、十数年にわたりEVを開発・製造・販売し続けてきた両社の知見が大きくものをいっている。

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