日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす

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噴煙を上げる阿蘇中岳(写真:夢中人/PIXTA)
地下のマグマが一気に地上に噴出し、壊滅的な被害や寒冷化を引き起こす超巨大噴火は「破局噴火」と呼ばれる。世界中には大噴火の過去をもつ大火山が分布しており、万が一噴火すれば、地球全体に影響がおよび、その地域では住民の大量死、さらには深刻な寒冷を引き起こしかねない。
では、今後起きるかもしれない破局噴火はどこにあるのか。著書に『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』があるジャーナリストの石弘之氏が、主なものを6つ紹介する。

全国のライフラインが完全に停止する可能性

①阿蘇山カルデラ噴火
出所:井村隆介「日本生態学会誌66」

日本国内では、巨大カルデラ噴火を起こした火山は7つあり、そのうちの4つが九州に集中している。なかでも最大のものが、熊本地震で活発化が懸念される、阿蘇カルデラだ。神戸大学教授の巽好幸は『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』のなかで、阿蘇山が破局噴火した場合、2時間ほどで火砕流が700万の人々が暮らす領域を焼き尽くす、火山灰が日本列島を覆い、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止する、と断言する。

日本列島では、これまで何度も富士山の宝永噴火の1000倍以上のエネルギーを放出する巨大カルデラ噴火を経験してきた。国内で最後に起きた巨大カルデラの鬼界噴火は、7300年前の縄文時代に遡る。

プリニー式噴火であるこのカルデラ噴火は、数十キロの高さにまで巨大な噴煙柱が上がり、周囲から取り込んだ空気が熱で膨張するため噴煙はさらに勢いを増していく。大量のマグマが噴出したことで空洞ができ、それが陥没してカルデラができる。火砕流が発生した場合には、その速度は時速100キロを超えることもあり、付近の谷を埋め山々を乗り越えていく。

九州の広い面積が焼き尽くされた後、中国・四国では空から火山灰が降り注ぎ、昼なお暗くなるだろう。そして降灰域はどんどんと東へと広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へと達する。大阪では火山灰の厚さは50センチを超える。とくに雨が降れば火山灰の重量は約1・5倍にもなり、木造家屋はほぼ全壊する。さらに、首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの降灰が予想される。

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