「管理職になりたい日本人」極端に少ない根本理由 職場コミュニティからはみ出てもいいことない

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周囲からの嫉妬が、出世の「足かせ」になっている?(写真:mits/PIXTA)
出世しても、給料が上がらない。ならば「やらないほうが得」。しかし、日本のビジネスパーソンのモチベーションが低い理由はそれだけではない。人間関係の摩擦や嫉妬といったストレスを計算に入れたら、チャレンジは割に合わないのだ。同志社大学教授の組織学者である太田肇氏が、日本企業の躍進を阻む構造的欠陥にメスを入れる(本記事は、太田肇『何もしないほうが得な日本』の一部を抜粋・編集したものです)。

「管理職になりたい」意識が低い日本人

「迷惑」は嫉妬、すなわちねたみやそねみの感情と結びつきやすい。実際はそれほど迷惑がかかっているわけではなくても、背後にある嫉妬心から相手の足を引っ張ったり、仲間はずれにしたり、調和や協調を名目に相手を押さえつけたりする場合がある。とくに出世、すなわち昇進や昇格をめぐって、それがしばしば露骨に表れる。

パーソル総合研究所が2019年の2〜3月に行った調査によると、日本人は「現在の会社で管理職になりたい」という人も、「会社で出世したい」という人も、調査対象になった国のなかで最も割合が低い。

実際に海外の企業で聞き取りをすると、管理職志向が日本に比べ明らかに強いことがわかる。そもそもホワイトカラーで管理職になりたくないという社員はほとんどいないという。

日本人の管理職志向が低い理由としては、昇進しても給与が大きく上がらないことや、責任が重くなりストレスが強まること、それに仕事が忙しくなり残業が増えるなど私生活へのしわ寄せが大きくなることがあげられる。

しかし、それだけではないようだ。つぎの調査結果は、やはり周囲からの嫉妬が昇進を尻込みさせていることをうかがわせる。

2016年に行われたある調査で「ビジネスで成功した女性は妬みを買いやすいと感じているかどうか」を聞いたところ、「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた女性は22.2%で、男性は7.2%だった。

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