【繰り返す下痢】受診の時期と行くべき診療科は 根本原因「考え方のクセ」を直す心理療法が有効

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繰り返す下痢。どういう状況になったらどんな診療科で診てもらえばいいのでしょうか(写真:mits/PIXTA)
慢性的な下痢や便秘、ガス(おなら)が繰り返し起こる「過敏性腸症候群(IBS)」。会議中や授業中にたびたびトイレに行きたくなり、日常生活にも支障が出るなど、患者の心理的なストレスが大きい病気の1つだ。長年悩まされる人もいるなかで、専門医はどのような治療法を行っているのか。心の問題で起こる体の病に詳しい、東急病院診療内科の伊藤克人さんに話を聞いた。

日本人の10~20%が症状に悩まされている過敏性腸症候群。下痢型、便秘型、混合型、ガス型とタイプがあるなかで、とくに下痢を繰り返す下痢型は病院を受診する人が多い。

前回の記事では、なぜ下痢になるのか、心理的なストレスによって体で起きている変化と便通の関係について解説した。また、日常生活で注意したほうがいいポイントについても紹介した。
(関連記事:【繰り返す下痢】10人に1人が悩む便通異常の訳

では、過敏性腸症候群ではどんな治療が行われているのだろうか。また、どの診療科を受診したらいいのだろうか――。

どんなタイミングで受診すべき?

伊藤さんによると、前提として過敏性腸症候群の患者のなかには、市販薬をうまく使って便通症状を抑えている人もいる。それでコントロールできている人は、そのままで問題ないという(ただし、定期的に病院で大腸に過敏性腸症候群以外の病気がないかチェックを受けたほうがベター)。

セルフケアだけでは便通異常が改善できない場合は、「ためらわず、病院を受診してください」と伊藤さん。その際はまず一般内科(消化器内科)を受診することを勧める。

「大事なのは、その症状がほかの病気によって起こっていないかどうか、確かめることです。とくに50歳以上は大腸がんのリスクが高まるので、一度は大腸内視鏡検査を受けたほうがいいと思います」

検査で大きな病気のないことが確かめられたら、排便を調整する薬(抗コリン薬や整腸薬、消化管運動機能改善薬など)を中心に、必要に応じてメンタルを調整する薬(抗うつ薬や精神安定薬など)を使った薬物治療を行っていく。

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