事故を起こしても車が直らない日本未来の危機 自動車整備学校入学者が激減、整備士が不足に

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将来、自動車の整備士不足が問題に(写真:ニングル/PIXTA)
日本の人口減少が進むことにより、戦後の日本経済を牽引してきた自動車産業にも大きな構造変化が起きつつあります。たとえば、そう遠くない未来、事故を起こしてもすぐに直してもらえなくなる日が訪れるかもしれません。河合雅司氏の最新作『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(講談社現代新書)より一部抜粋・編集のうえ、人口推計に基づく予測をご紹介します。

戦後の日本経済を力強く牽引してきた自動車産業をめぐっては思わぬところにも落とし穴がある。整備士が不足し始めているのだ。

自動車は販売すればおしまいという商品ではない。安定的に利用するにはこまめなメンテナンスが必要である。それは、クルマを走らせる燃料がガソリンであるか、電気であるかを問わない。

高齢化で、今後は高齢者の自動車保有が進む。それは同時に、買い替えサイクルが長くなるということである。現役時代と比べて収入が少なくなり、一台を丁寧に乗り続けようという意識が強くなるためだ。

またかつてよりクルマの性能が向上したことも長く乗り続ける人を増やすこととなっている。長く乗るということは部品の交換が必要となることでもあり、自動車整備の需要はますます増える。需要が高まりを見せるのに整備する人が足らず、作業が滞ることになればクルマ離れに拍車をかけよう。整備士の不足は自動車の製造や販売にとって新たな経営上のマイナス要素となりかねないのである。

自動車整備学校入学者が約半減

では、整備士はどれくらい減っているのか、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の「2021年度 自動車特定整備業実態調査」で直近の数字を確認してみよう。

整備要員数は39万8952人で前年度より266人(0.07%)減っている。整備士数も前年度より5274人(1.6%)少ない33万4319人だ。整備要員数に対する整備士数の割合(整備士保有率)は83.8%で1.3ポイント減少した。

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