ただの石を1日5000円売り上げた男が悟った真理 人生における本当の「勝者」はお金持ちではない

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ワクサカソウヘイさんがイベントで売った石と5000円札を抱える人
ただの石がお金に変わるときに何が起こるのか(左写真:筆者提供、右写真:RewSite/PIXTA)
「お金の呪いから解き放たれたい」という切実な願いから、なんの変哲もない石を手づくりマーケットで売り始めたワクサカソウヘイさん。
マーケット初日は1つも売れないまま終了、途方に暮れてしまいます。
しかし、1日繁盛していた隣ブースからヒントを得て、翌日から実行に移したところ、ただの石が嘘のように売れ始めます。
それは一体どのような方法だったのか?
文筆家・脚本家、また、構成作家として多くの舞台、コントにも携わるワクサカさんが、衣食住の呪いを解こうと体当たりで奮闘した記録『出セイカツ記 衣食住という不安からの逃避行』より、ワクサカさんが実際に体験した、経済にバグを起こすための「石とお金をめぐる冒険」全4回連載の最終回をお届けします
第1回:スネ夫に憧れた男が金に困った末に辿り着いた道(11月29日配信)
第2回:何の変哲もない石をお金に換えた男の超劇的瞬間(11月30日配信)
第3回:石を売ろうとして売れなかった男の超痛い黒歴史(12月1日配信)

「自前の経済システム」への疑い

結局、この日の『手づくり市』で、私は石をひとつも売ることができなかった。

負け戦が終わった落ち武者の心持ちで、背中に影を背負いながら、夕暮れ迫る公園の中、石とカウンターとを片付ける。

「私は、お金に負けている者だ」

そんな意識を、ずっと持っている。

私はタイムカード打刻機に水を注いでしまうような人間だ。すなわち、自分の時間を他人に売ることが極端に苦手な人間だ。雇われることが本来的に性質に合わず、だから何度も就業しては、何度も退職してきた。お金に負け続けながら、切れ切れに生きてきた。

他人に雇われることが苦手な人間が、お金に「勝つ」ために必要なのは、自分自身を自分で雇うこと、すなわち自分だけの「経済システム」を獲得することだ、という言説をよく耳にする。なるほど、たしかに自営業やフリーランスで猛然と稼いでいるっぽい人たちは、やれ仮想通貨だ、やれアフィリエイトだ、と自前の「経済システム」を保有していることをチラ見せしてくる。

このようにお金に負け続けてきた私にも、きっと自前の「経済システム」は必要なのだろうけど、しかし、それをどのように構築したらいいのか、ちっとも見当がつかない。どこにいけばあるんですか、その「自分だけの経済システム」ってやつは? コストコとかに売っているのですか? という塩梅である。

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