「竹下通り」知られざる深夜のごみ収集作業の裏側 非効率?「事業系ごみ」の収集作業の問題点

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事業系廃棄物の収集は、基本的に契約している事業者のもとを一軒一軒回り、店舗やヤードの中に排出されたごみを収集する形となっている。よって、たとえ契約先が遠方で一軒のみであっても、主な収集エリアから清掃車を走らせて「飛び地」の現場に向かっていき、排出された事業系廃棄物を収集していく形となる。

筆者も乗務した収集車は、深夜のすいた幹線道路を15分程度も走行し、「飛び地」の現場へと向かっていった。到着後すぐに排出された数個のごみ袋を収集したのだが、時間をかけて来たからには、もう少しごみを積んで帰りたく思えてしまう。しかし、その付近には契約している事業者が存在せず、収集後は次の現場に向かうために遥々来た道を直ぐに戻っていった。

また、時間をかけて「飛び地」の事業者の排出場所に辿りついても、ごみが出ておらず、「空振り」に終わることもあった。

このような非効率な収集を減らすために、何らかの工夫により改善できるのではないかと思えてならなかった。ごみの排出者が排出の有無を収集者側にそれほどの手間にならず知らせられる仕組みがあると、収集事業者側は助かるのではないだろうか。

可燃ごみなどと一緒に処分される段ボール

さらに非効率な点がある。店舗から排出されるごみの中には、厨芥(調理場からでるごみ)や可燃ごみなどの事業系一廃と、プラスチックやペットボトルや缶といった事業系産廃があるが、それとともに、段ボールも排出されることがある。

段ボールは有価物の資源であるので、それだけを収集して、古紙リサイクル業者に搬入して換金し、リサイクルを進めていきたいところであるが、それを行おうとすると当然ながら収集用の清掃車と人員が別途必要となってくる。

それに加え、別途手配するコストに見合うだけの段ボールが一定量まとまって排出されてくる必要もある。これらの条件が満たされれば段ボールのリサイクルが推進されていくのだが、残念ながら現実的にはそうならない。よってやむをえず事業系一廃とともに段ボールも収集して、清掃工場で燃やさざるをえない状況となっている。

こうなるのも、店舗側の事情としては、店舗内に段ボールをまとめてストックしておくスペースが確保できず、日々の事業から段ボールが出れば、その日のうちに処分してもらいたいという思いでいる。

一方、収集業者側のビジネス背景として、段ボールの引き取り「相場」の不安定さが挙げられる。現在はキロ十数円で推移しているが、これが0円になる場合もある。相場の不安定さは、安定的な事業展開を困難にし、理想的な形にはならないが一定の利益が出る形を志向していかざるをえなくなる。

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