最後の国鉄急行形気動車「キハ28」引退までの軌跡 登場から約60年、いすみ鉄道では2013年導入

拡大
縮小
11月27日に定期運行を終えるいすみ鉄道のキハ28(写真:くまてつ/PIXTA)

いすみ鉄道では2013年から国鉄の急行形気動車キハ28を運行していたが、2022年11月27日限りで定期運行を終了する。キハ28は国鉄の急行形気動車の1つとして東北から四国・九州までの広い範囲で使用された車両で、いすみ鉄道のキハ28はJRで定期運行を続けていた最後の車両でもある。

この記事の画像を見る(4枚)

国鉄を代表する急行形気動車

今回、定期運行を終了するキハ28とはどんな車両なのだろうか。キハ28は1961年に登場、キハ58系と呼ばれる急行形気動車(急行用ディーゼルカー)の一族にあたる。キハ58系は、地方都市間を結ぶ急行列車の近代化を図るべく、造られた車両だ。

キハ58系が登場した当時は道路の整備が未熟な時代で、鉄道が日本の交通機関の王様と言える存在だった。このころは蒸気機関車の列車が数多くあったのだが、蒸気機関車に代わって煙の出ない、近代的な車両としてディーゼルカーが重用された。

現在、都市間を結ぶ列車といえば、新幹線をはじめとする特急列車ばかりとなっているが、キハ58系が登場したころは特急列車は特別な存在で、大衆向けの都市間輸送の列車は急行が主役だった。

キハ58系の同形の車両として、北海道向けで極寒地仕様のキハ56系、信越本線の急勾配区間横川―軽井沢間(碓氷峠)を擁する区間の走行に対応したキハ57系があったが、外観はキハ58系と大差がない。これらの車両を含め、1968年までにキハ58系の一族は1800両あまりが造られ、全国各地で使用された。

キハ58系の一族が造られた当時、日本は高度経済成長期にあった。蒸気機関車の列車の代替としつつも、都市間を結ぶ列車の整備・充実を図るほうに重点が置かれ、キハ58系一族が大量に造られた一因となっている。

次ページ急行列車からローカル線へ
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT