なぜAmazonは幹部でもエコノミーに乗るのか 世界最強企業が大切にする「質素倹約」哲学

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アマゾンが徹底した倹約にこだわる理由とは(写真:CORA/PIXTA)
1995年に創業し、時価総額世界一にもなった巨大企業アマゾン。徹底した倹約精神でも有名で、その徹底ぶりは、アマゾン ジャパンの社長クラスさえ飛行機のビジネスクラスを認めないくらいだ。なぜ世界最強企業はそこまで倹約にこだわるのか。アマゾンの人事制度ができあがっていく様子を内部で体験した佐藤将之氏の著書『amazonのすごい人事戦略』から、その秘密を紹介する。

Frugality(質素倹約)

amazonにはLP(Leadership Principles)と呼ばれる16箇条のリーダーシップ理念があります。これはジェフ・ベゾス達が考え、アマゾニアン達の行動指針となっており、amazonの人事制度における最大のイノベーションとも言えるものです。

そのLPの10番目に「Frugality(質素倹約)」があります。主旨は次のとおりです。

私たちはより少ないリソースでより多くのことを実現します。倹約の精神は創意工夫、自立心、発明を育む源になります。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいというものではありません。(Amazon ウェブサイトより)
amazonのすごい人事ー最強組織の採用・育成・評価
『amazonのすごい人事戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

お金をかければできることは山ほどあります。しかし、どうすればお金をかけずにかけたのと同じことが実現できるかを考えることこそが、本来人間がやるべきことでしょう。湯水のようにジャブジャブとお金を使って、「はい、できました」では進歩がありません。

アマゾンでは毎年売上が20%伸びていますが、そんな中でも、人員を増やさず効率化をして乗り切る、などの努力は常に要求されます。

お金をなるべく使わずに、より良いサービスを提供する方法を考えることこそが、イノベーションを生む1つのきっかけになるからです。

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