企業の嘘見抜くZ世代に支持されるブランディング 大企業だからという理由だけでは信頼されない

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デジタルネイティブ世代に向けては、信頼を得ることがなにより重要(写真:sunwannar/PIXTA)
少子高齢化が進む日本では、モノやサービスの価格競争が激化し、人材確保も難しくなっていくことが予想される。そうした経営課題を解決する手立ての一つが、独自のブランドを確立する「ブランディング」だ。創業以来70年に渡って多数のクライアント企業のブランディング戦略を手掛けてきた大伸社コミュニケーションデザインが、なぜ今ブランディングが必要なのかを解説する。(本稿は、『手にとるようにわかる ブランディング入門』を一部抜粋・編集のうえお届けします)。

あらゆる企業・サービスにブランディングは必要

「品質の高い商品を作っていれば、自然と売れるはず」

「高級品を売っている会社ではないので、自社にはブランドは存在しない」

そんな声もまだまだよく聞かれます。

しかし、私たちは業種・業態や会社の規模にかかわらず、どんな会社にもブランドは存在する、ブランディングは可能であると考えています。特に、「誠意を持って品質の高い商品を作っているのに、差別化ができず、他社との価格競争に巻き込まれている」といった会社にとっては、ブランディングがその突破口になるかもしれません。

私たちの経験に基づいてお話しすると、「自社にブランディングは関係ない」と考えているビジネスパーソンのほとんどは、ブランディングについて誤解していると感じています。

たとえば、プレミアム・ブランドだけがブランドと思うのであれば、それは大きな誤解です。多くの会社が戦略的に自社のブランドを育てられていないのが実情なのです。

ブランディングの重要性が増している要因として、大きく4つの社会的な変化が影響しています。

1.市場は飽和し、製品・サービスの機能や価格だけでの差別化が難しくなった。

2.人口減少時代。安く、多く売る戦い方から付加価値を売る転換が必要となっている。

3.デジタル化による、生活者の消費活動の変化への対応が必要となっている。

4.少子化による人材不足。企業のブランド力が採用力に大きな影響力を及ぼしている。

1つ目は、日本市場の飽和です。モノがなかった時代、ビジネスを成功させる最善手は、いち早く新商品を作り、いち早く市場に投入することでした。

しかし、今はモノが余り、かつニーズが多様化している時代です。商品(サービスも含む)の機能や価格で大きく差をつけることも難しくなってしまいました。

また、苦労の末に生まれた新商品も、想像を超えるスピードで他社に追随されてしまいます。そんな時代により違った方向での「差別化」の糸口が、ブランドによる差別化なのです。

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