ロシア正教会がウクライナ侵攻を"祝福"する理由 「プーチン政権とのつながり」を池上彰が解説

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ロシアとウクライナの関係、ロシアの政治と宗教の関係を見ていきましょう(写真:Andrey Rudakov/Bloomberg)
2022年2月、ロシア軍のウクライナ侵攻は世界を驚かせましたが、世界の宗教界を驚愕させたのは、ロシア正教会トップのキリル総主教が、ウクライナ侵攻を「祝福」したことでした。他国への侵略を認めるだけでなく、それを「祝福」する。全面的な支持を与えたのです。
「これがキリスト信者のすることか」と憤激した世界の教会関係者も多かったのですが、ロシア国内では、侵攻に反対する正教会の聖職者は少数にとどまっています。
今回は、ロシアとウクライナの関係、ロシアの政治と宗教の関係を池上彰氏の新刊『聖書がわかれば世界が見える』より解説を抜粋します。

ロシア正教会トップ・キリル総主教はどんな人物なのか

彼はプーチン大統領と同じサンクトペテルブルグ出身で、1946年生まれ。「祝福」を与えた段階で75歳です。2009年にロシア正教のトップである総主教の座につきました。

神学校に通い始めた1972年にKGBからリクルートされ、25歳でKGBの工作員になったとイギリスの新聞「タイムズ」が報道したことがあります。教会の聖職者が秘密警察のスパイ。驚いてしまいますが、当時、KGBはソ連社会のあらゆる場所に協力者を配置していましたから、さもありなんという感じです。つまりプーチン大統領とは同郷で、同じくKGB出身というわけです。

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