香港政府、世界「トップ100大学」卒業生にビザ発給 若者の流出目立ち、高度人材の呼び込みに躍起

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若者の海外流出が続く香港では、20~24歳の労働力人口が1年間で15%減少した(写真はイメージ)

香港政府は、大学の世界ランキング上位100校を過去5年以内に卒業した「高度人材」を対象に、有効期間2年の居住ビザを発給する。香港政府の李家超(ジョン・リー)行政長官が、10月19日に行った2022年の施政報告(施政方針演説に相当)のなかで明らかにした。

有効なビザを所持して香港に連続7年間居住した外国人は、香港の永住権を取得できる。新制度を利用して居住ビザを取得した高度人材が永住権の取得前に香港で住宅を購入した場合、非永住者に課される割高な印紙税を永住権取得後に還付する優遇策も併せて発表された。

2020年に新型コロナウイルスの世界的流行が始まって以降、香港では人才不足が深刻になっている。香港の労働力人口は過去2年間で約14万人減少し、なかでも若者の海外流出が目立つ。

香港政府の統計局がまとめた2022年4~6月のデータによれば、20~39歳の労働力人口は全体的に減少。そのうち20~24歳の減少率は1年間で15%に上った。

「小さな政府」志向を転換

「地元香港の人材を積極的に育成・雇用するだけでなく、さらに一歩踏み込んで海外人材の呼び込みに力を注ぐ」。李長官は施政報告のなかでそう強調した。

グローバル景気の後退リスクが高まるなか、各国政府は新産業の誘致や高度人材の呼び込みを通じて、経済活力の維持を図ろうとしている。そんななか、香港政府は「小さな政府」を志向する伝統にこだわらず、より積極的な人材獲得に取り組む姿勢に転じた格好だ。

本記事は「財新」の提供記事です

大学の世界ランキングを基準にした香港の新政策は、イギリスの人材獲得政策に似ている。

イギリス政府は2022年5月、「高度な潜在力を持つ人材」を対象にしたビザ発給計画を発表。世界ランキング上位50校以内の大学を過去5年以内に卒業した人材は、イギリスでの就職先が決まっていない段階でも居住ビザを取得できるようにした。

(財新 駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は10月19日

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