年金が減っても老後幸せに暮らせる日本の新潮流 ストレスなく十分な収入を得て暮らすのは可能

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定年後にストレスなく働くことは可能(写真:shimi/PIXTA)
年金への不安など、老後の生活にはふたしかな要素が多い。その一方で、高齢者が短時間でストレスなく働ける経済環境が急速に整っている点などは見落とされがちだ。「多くの平均的日本人がむかえるこれからの老後は、家計が十分に回り、むしろ現役時より幸福度も高い」と、『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』の著者であるリクルートワークス研究所研究員の坂本貴志氏は言う。その理由を聞いた。

――年金保険料の納付期間を40年から45年に延長する議論を進めるというニュースが先日報じられました。支給額の減少など年金制度への不安は尽きません。

坂本:老後を年金のみに頼って生活するのは難しくなっていくでしょう。定年(60~65歳)といわれる年齢を過ぎても、男女ともに働いて収入を補填することが当たり前になってきます。

年収分布の中央値を見ると、50代半ばに400万円に達した後、65歳以降は180万円以下に減ります(下図)。

『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』P14より

収入の大幅ダウンとなると、現役時に高い地位にいて活躍されていた人ほどプライドが邪魔してギャップに戸惑うという話を聞くことがあります。しかし、多くの方は時間をかけて受け入れます。むしろ現役時より定年後の仕事はストレスが少ないという厚生労働省の調査があります(下図)。ここでは60歳以上の65.1%が「仕事における強いストレスはない」と答えています。

『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』P118より

同調査によれば、仕事に関するストレスの原因として主なものは、仕事の量や質、仕事の責任、対人関係などとなっています。一方で、収入が減ることによるストレスは挙げられていません。

シニア世代は現役世代と比較して、仕事の量や質、責任が少なく、難しい人間関係も発生しづらくなります。これらのことによりストレスなく働くことができるのです。

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