ウクライナから予測できる近未来の「台湾有事」 日本が「戦場」になる日ははたして来るのか?

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はたして「台湾有事」は起こるのでしょうか(写真:Harvepino/PIXTA)
人はなぜ血で血を洗う戦いを繰り返すのか、その手がかりは歴史にあります。ウクライナ戦争でも浮き彫りになった、戦争が起こる条件、それを抑止する条件とは? 先日、『増補版「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべきリアリズム』を上梓したノンフィクション作家の茂木誠氏が、世界史的文脈から、多極化する「台湾情勢」を掘り下げます。

日本周辺で同じような事態が起こるのではないか

2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領がはじめたウクライナ侵攻。すぐに屈服するかと思われたウクライナは半年を超える戦いに耐えています。他方で西側諸国の経済制裁を受けたロシアもさほどのダメージを受けず、泥沼化の様相を呈してきました。

8カ月目に入っても終結のメドが立たないなか、プーチンはロシア軍に部分動員令をかけ、ウクライナ東南部4州のロシアへの併合を宣言しました。

画面越しに中継される、主権国家同士のリアルな戦争としてはイラク戦争(2003〜2011)以来であり、破壊されていく街、避難民の姿が、われわれの脳裏に刻みこまれました。われわれにとって重要なのは、日本周辺で同じような事態が起こるのではないかという不安です。

8月2日、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が米軍機で台湾を電撃訪問し、蔡英文総統と会談しました。「台湾は中国の一部」と主張する中国はこれに猛反発し、台湾近海における大規模な軍事演習でこれに応えました。 中国軍が発射したミサイルの一部は、日本の排他的経済水域(EEZ)に着水したのです。台湾のすぐ近くの尖閣諸島に対しても中国は領有権を主張し、武装公船を派遣して日本の漁船を阻んでいます。

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