今のインフレを見誤る人が知らない「4つの要因」 「原油価格の上昇」だけでは到底、説明できない

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現在の世界的なインフレは、さまざまな要因が複雑に絡み合って起きている(写真:metamorworks/PIXTA)
日本がすでにスタグフレーションに入っているという前回の記事は、大きな反響を呼びました。現在のインフレは日本のみに起こっている現象ではなく、世界的な潮流であり、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。経済評論家の加谷珪一さんに、新刊『スタグフレーション 生活を直撃する経済危機』をもとに解説してもらいました。

今回のインフレ「4つの要因」

今回のインフレの背景として、次の4つの要因が考えられます。

①原油や食料など1次産品の値上がり
②世界的な需要の拡大
③米中対立やウクライナ侵攻など地政学的要因
④量的緩和策によるマネーの大量供給

①から順に説明していきましょう。

図は原油、天然ガス、食用油、小麦の価格推移を示しています。2015年以降、原油価格は1バレル50~60ドル程度で取引されていましたが、2020年前半のコロナ危機による下落を経て、2021年から本格的な価格上昇が始まり、2022年には100ドル超えが日常的となっています。約2倍になったわけです。

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