何が起きた?西九州新幹線「開業初日」の一部始終 部分開業がネック、やはり「長崎は雨」なのか?

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大勢が開業の瞬間を待ちわびるなか、長崎駅に「Happy birthday to you」の曲が流れだす(西九州新幹線の開業にあたり結成された「かもめ楽団」演奏の録音)。そして予定通り5時00分ごろ、開業記念式典が始まった。

この日に長崎駅の一日駅長を務める長崎県出身の女優、長濱ねるさんへ、“本物”の萱嶋創駅長より、その任命式が行われる。同時に、式典会場を取り囲む柵の外から、無数のスマホ、カメラが天高く掲げられる。先述した「ざっくり1000人」の中には、「長濱ねるファン」も少なからず含まれているのかもしれない。

新幹線改札前で始まった開業記念式典は、「一日駅長任命式」のあと「くす玉開き」「改札通り初め」を行って、会場を新幹線改札内に移動。主催者挨拶、来賓祝辞が開始される。

「新幹線には交流人口を増やし、定住人口を増やす効果がある。西九州新幹線の開業を一過性で終わらせてはいけない」(JR九州 古宮洋二社長)

「未開通の区間については関係者とよく議論し、『新幹線ネットワーク』を生かしていきたい」(斉藤鉄夫国土交通大臣)

「新幹線の開業効果を県内に広げ、継続していきたい」(長崎県 大石賢吾知事)

「開業効果を大きなものにし、『次の一歩』をまた皆さんと迎えられるよう努力していきたい」(長崎市 田上富久市長)

必ずしも、もろ手を挙げて喜ぶような挨拶、祝辞でなかったのは西九州新幹線らしいところだ。

今回の西九州新幹線開業にあたって、筆者は色々な人に話を聞いたが、「部分開業」という点で話のトーンが低くなる場面が幾度もあった。

ホームで混乱は起きなかったのか?「撮り鉄」は?

上り一番列車「かもめ2号」を担当する西尾麻衣子運転士、金城福貴車掌が「新幹線の『安全の伝統』を引き継いでいく」と安全宣言を行い、子どもたちから花束を受け取る。

時刻は5時55分ごろ。上り一番列車の出発まで、もう20分ほどだ。ここからの式典は、ホーム上での実施になる。

すでに乗客は、上り一番列車「かもめ2号」が発車する14番のりばへ移動しており、指定席の列に並んでいた女児とその父親が、何台ものテレビカメラに囲まれていた。

ほかにも、手製の小さな横断幕を作ってきたシニアの男性、小学生の子供がいる一家などが、ホームで「今日はどこへ行きますか?」「どこから来ましたか?」「新幹線に期待することはなんですか?」といった取材を受けている。

6時05分、停車していた上り一番列車「かもめ2号」のドアが開いた。長崎駅から自由席に乗車できる人数が、ホームへ移動する前の段階で、座席数とほぼ同数の230名までに制限されていたこと、入場券で「かもめ2号」が発車するホームへの入場は不可だったことから、整然と乗車が進む。ガッツポーズをしながら乗り込んだ若い男性の姿も見えた。

入場券で入れたのは、隣の新幹線11・12番のりばだ。そのホームでは、一番列車の出発を見届けよう、撮影しようとする人たちで、安全柵沿いに人垣ができている。

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