香港政府、海外からの入境者の「強制隔離」を撤廃 新型コロナの市中感染減少受け、水際対策緩和

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ゼロコロナ政策を堅持する中国本土と異なり、香港政府は水際対策の緩和を進めている(写真は香港国際空港のウェブサイトより)

香港政府が、新型コロナウイルスの水際対策のさらなる緩和を検討していることが明らかになった。中秋節の3連休(9月10~12日)の終了後、新型コロナの市中感染が減少傾向にあることを受け、緩和の条件が整いつつあると判断した。

「感染状況のデータを見つつ、入境検疫を緩和する方向で動いている。海外からの入境者に課しているホテルでの検疫期間(強制隔離)を廃止し、滞在先での7日間の医学的観察のみにすることを検討中だ」

9月17日、香港政府の医務衛生局の盧寵茂局長は出演したテレビ番組のなかでそう述べた。

海外からの入境者は、医学的観察の期間中も外出を許される。ただしレストラン、バー、トレーニングジム、美容院などには入店できないほか、マスクを外して行動することも許されない。

その一方、毎日の抗原検査結果が陰性であることを前提に、医学的観察の期間中も公共交通機関の利用、勤め先への出勤、ショッピングセンターやスーパーマーケットへの入店などは許可される見通しだ。

中秋節後の感染再拡大は杞憂に

香港政府は8月12日、海外から空港経由で入境した旅行者に課していたホテルでの7日間の強制隔離を、3日間の強制隔離と4日間の医学的観察の組み合わせに緩和していた。検討中の緩和策は、これに続くものだ。

9月以降、香港での新型コロナの市中感染は減少している。8月末時点では1日当たりの新規感染者数が1万人を超えていたが、9月18日の新規感染者数は7322人だった。香港政府は、中秋節の連休中に家族が集まることなどで感染が再拡大するのを警戒していたが、それは杞憂に終わった。

前出の盧局長はテレビ番組の中で、強制隔離の撤廃は11月までに実施される可能性があるとの見通しを示した。

本記事は「財新」の提供記事です

香港では11月に、国際金融投資サミットおよび7人制ラグビー世界大会という国際的な大型イベントの開催が予定されている。それらの主催者は、海外からの参加者の検疫手続きを準備するため、香港政府に対して9月末までに水際対策緩和の具体案を示すよう要望している。

(訳注:香港政府は9月23日、強制隔離の撤廃を大幅に前倒しし、9月26日から実施すると発表した。医学的観察も3日間に短縮された)

(財新 香港駐在記者:文思敏)
※原文の配信は9月19日

財新 Biz&Tech

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