中国新興EV「蔚来汽車」、第2世代の新型車を投入 1台当たり販売価格を引き上げ、利益率を改善

✎ 1〜 ✎ 1033 ✎ 1034 ✎ 1035 ✎ 最新
拡大
縮小
蔚来汽車が2022年3月に納車を開始した「ET7」は、第2世代のプラットフォームで開発された初の新型車だ(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)は9月7日、2022年4~6月期の決算を発表した。注目すべきなのは、同四半期のEVの販売台数が直前の1~3月期より減少したにもかかわらず、売上高は逆に増加したことだ。これは、同社のEVのラインナップが(第1世代から第2世代への)移行期にあり、4~6月期はより価格の高いニューモデルの販売が増えたことに起因する。

具体的には、蔚来汽車の4~6月期の販売台数は2万5059台と、1~3月期より2.8%減少した。4~6月期は新型コロナウイルスの局地的流行が中国各地で頻発し、自動車産業が集中する上海市や吉林省などの部品メーカーの生産が滞った。その影響により、蔚来汽車は(完成車の組み立てに必要な部品を十分確保できず)4月に一時的な生産停止を余儀なくされた。

一方、4~6月期の売上高は102億9000万元(約2127億円)と、1~3月期より3.9%増加した。そのうちEVの販売収入は95億7000万元(約1978億円)と、同3.5%増加。1台当たりの平均販売価格は38万1900元(約789万円)と、同6.5%上昇した。

研究開発費が膨らみ赤字拡大

なお、蔚来汽車の4~6月期の純損益は27億6000万元(約570億円)の赤字であり、損失額は1~3月期の1.5倍超に拡大した。その要因について同社は、4~6月期に研究開発費として前年同期の2.4倍の21億5000万元(約444億円)を投入した影響を挙げた。研究開発部門の人件費の増加に加えて、新製品や新技術の開発コストも上昇したとしている。

蔚来汽車はEVのラインナップを急速に増やしている。4~6月期に販売したのはSUVの「ES8」「ES6」「EC6」およびセダンの「ET7」の4車種。このうちET7は、2022年3月末に納車を開始したニューモデルだ。同社はその後、SUVの「ES7」とセダンの「ET5」の2車種を7~9月期に投入。ES7はすでに8月末から納車が始まり、ET5は9月末に納車を開始する予定だ。

本記事は「財新」の提供記事です

これらのうちES8、ES6、EC6の3車種は第1世代のプラットフォーム(車台)で開発されたモデルであり、ET7、ES7、ET5は第2世代となる。

蔚来汽車のCEO(最高経営責任者)の李斌氏は、「第2世代のプラットフォームはより高い利益率を実現した」と説明する。同社は(新型車の連続投入により)7~9月期に3万1000台~3万3000台の納車を目指している。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は9月8日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT