「勉強しないとああなる」暴言に清掃員伝えたい事 ごみ収集作業員が先生?環境学習に携わる職員

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分別体験の様子(筆者撮影)
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毎日、毎週、真夏や雨の日でも当たり前のように収集してくれるごみ。しかし、誰がいつどう収集していくといった現場の実際についてはほとんど知られていない。今回は清掃職員の「ごみ収集」以外の仕事にスポットを当てる。
地方自治体の中には、清掃職員が保育園、幼稚園、小・中学校などでの環境学習を支援している。だが、この形も最初からうまくいっていたわけではない。ある自治体では、小学校での環境学習に清掃事務所が協力する形が現在ではできているが、両者の関係がぎくしゃくしていた時期もあったという。小学校の傍らでごみ収集作業をしていた際、2階の窓から見下ろしていた教諭が児童たちに向かって、「勉強しないとああなるぞ」と暴言を吐いたことがあったからだ。
学校に清掃職員が訪れ、環境学習を支援する意味とは? いったいどのようなことを教えてくれるのでしょうか?

「ごみ収集」以外の仕事とは?

「清掃に従事している方々は、どのような業務を担っていると思いますか?」と問われれば、真っ先に「ごみ収集」と答えるであろう。もちろんそうなのだが、それ以外にも住民が清掃行政に参加し環境問題にしっかりと向かいあえるよう、啓発する業務にも従事している。

ごみ収集を直営で行っている地方自治体の中には、清掃職員が保育園、幼稚園、小・中学校などでの環境学習を支援している。

清掃職員は毎日のごみ収集業務を通じて、ごみの分別の知識などを蓄積したスペシャリストだ。それに加え、職員の中には帰宅後も今後の地方自治体の環境政策やSDGsについて学び、実践と理論を結びつける努力を積み重ねている方々もいる。そのような準備を行ったうえで、幼児、児童、生徒の前に立ち、私たちの生活環境や地域の環境保全に向けた知識や気づきを提供している。

今回は清掃職員が携わっている環境学習事業に着目し、現場でどのような実践が行われているかを話してみたい。それとともに、当該環境学習の背後に存在する考えや思いを紹介し、行政改革の対象とされ削減が進められている状況での清掃職員のあり方を述べてみたい。

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