台湾有事を見据え水面下で進む日米台の軍事協力 パラオ演習に台湾巡視船と海自護衛艦が参加

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2022年7月に行われた「パシフィック・パートナーシップ」に日本から参加した海上自衛隊の護衛艦「きりさめ」(写真・海上自衛隊提供)

インド太平洋地域での海軍と海上法執行機関の協力をうたうアメリカ軍の「パシフィック・パートナーシップ2022」の合同演習が2022年7月に西太平洋のパラオ沖で行われ、海上自衛隊とアメリカ海軍、イギリス海軍艦船に交じって、台湾の巡視船が極秘裏に参加した。

アメリカのバイデン政権は「インド太平洋戦略」で、台湾有事を視野に中国抑止へ向けた米台の軍事協力強化と日本との「統合抑止力」を強調しており、日米台の軍事協力は水面下で密かに進んでいる。

パラオ紙が台湾参加を確認

「パシフィック・パートナーシップ」は、アメリカ海軍と沿岸警備隊が日本など同盟国や友好国と「人道支援・災害対策」の合同演習を行う年次計画で、2022年は17回目。海上自衛隊によると、2022年7月15~19日にパラオ沖で行われた合同演習には、海自の護衛艦「きりさめ」が、アメリカ海軍病院船「マーシー」、同沿岸警備隊巡視船「マートル・ハザード」、イギリス海軍哨戒艦「テイマー」、パラオ海上保安局巡視船「ケダム」と合同演習を行った。

台湾紙などの報道によると、演習に台湾海巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船「台南艦」(2105トン)が参加した。海上自衛隊とアメリカ海軍のプレスリリースでは、台湾巡視船参加について一切触れていない。だがパラオ紙「ISLAND Times」(デジタル版)は2022年7月15日、「台湾海巡防署は37名の乗組員とともに16~19日まで演習に参加」と報じた。

アメリカと台湾は2021年3月、アメリカ沿岸警備隊と台湾海巡防署の協力覚書に署名した。バイデン政権では初の米台間の覚書だった。覚書に基づき2021年、やはりパラオ周辺海域で行われた「パシフィック・パートナーシップ」合同演習には、台湾の600トン級巡視船「安平艦」が初参加した。

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