年金を一番トクにもらう「夫婦の年齢差の法則」 配偶者手当「加給年金」をどう受け取るかがカギ

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改正された年金制度。「年金戦略」を立てるときの視点を紹介します(写真:8x10/PIXTA)
年金制度が改正された。受給開始年齢を75歳まで繰り下げられるようになり、受給を遅らせれば遅らせるほど、受け取る年金額が増えていく仕組みとなったのだ。そこで悩ましい問題が出てきた。いったい何歳からもらうと生涯にわたって受け取る年金の総額を最も多くできるのだろうか、ということ。社会保険労務士の増田豊氏の著書『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』より、「夫婦間の年齢差」、「平均寿命」、受給開始を遅らせたことによる「待機期間中の生活費」の3つの視点で一部引用・再編集して紹介する。

受給開始を遅らせるほど年金は増えていくが

年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は65歳からの受給開始が基本だが、本人の希望によって受け取る時期を遅くすることも早めることもできる。年金を受け取る時期を65歳よりも後ろにすることを「繰り下げ」、65歳よりも早めることを「繰り上げ」と言うが、今回の年金大改正では、年金の受給開始年齢を「75歳まで繰り下げる」ことができるようになった。

これまでも70歳までは繰り下げることができたが、それがさらに5年間、後ろ倒しできるようになり、しかも、75歳に繰り下げると65歳から受け取るのと比べて、受け取る年金額が84%も増える。つまり、75歳まで繰り下げると「ほぼ2倍」の年金を受け取れるようになったのだ。ここが年金大改正の最大のポイントだ。

もう少し詳しく説明すると、年金を66歳以後に受給開始する場合、65歳から繰り下げた月数によって0.7%ずつ、受け取る年金の月額が増えていく。受給開始を65歳から1年間、繰り下げると8.4%、70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると84%も増えることになる。

それでは、いったい何歳から受け取り始めれば、「生涯で受け取る年金の総額がもっとも多くなる」のだろうか。

次ページ受給期間と月々の年金額を考慮し「年金戦略」を立てる
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